川﨑 篤志 様のインタビュー
川﨑 篤志 様
(センインテクノロジーズ株式会社)
シリコンバレー駐在経験を生かす!
小型化した三次元MIDで技術革新に取り組む
(目標額:27,027,000円)
プロジェクトの概要

独自の三次元MID技術で精密機器の省エネ・省スペースを実現
スマートフォンをはじめとする精密機器の内部には部品や基盤等が密集し、
これ以上の小型化や軽量化、AIセンサー実装等が難しく、半導体メーカーも省エネ・省スペース化に
苦戦している現状です。
「MID」とはプラスチック加工のひとつである、射出成形品(金型にプラスチック等を流し込んで作成する製品)に配線を施した製品ですが、これに「三次元配線」された製品を三次元(3D)MIDと呼んでいます。
三次元MIDは従来の平面的な電子回路基板に代わり、三次元の立体的な形状に直接回路を形成する
技術を持つため、さまざまな製品の小型化・軽量化・高性能化を実現できます。
用途としては、スマートフォンだけでなく、医療機器、自動車、センサーなど幅広い分野に応用可能で、顧客のニーズに合わせたカスタム製品の開発も行うことができます。また、組み立て時の工数も削減できる点や、さらにはデザインの自由度を大幅に向上させるとも
言われています。
たとえば、自動運転の実用化が進められている自動車では安全確保のために、360度全方位をカメラで確認しなければなりません。
従来の技術では、形状の制約から高価かつ重量のあるセンサーが欠かせませんでした。
ここで三次元MIDを使い、小型化、軽量化することで、燃費性能の向上による環境負荷も低減できると考えています。
我々は、設計から製造まで一貫したサービスを提供するほか、国内のパートナー企業と連携し、新しい製造技術の開発と普及にも
取り組んでいます。
認知度の向上とグローバル戦略
弊社は、当時世界ナンバーワンの国内大手半導体メーカーで半導体セールスの基礎を学び、アメリカ・シリコンバレーでの駐在経験を
通じて、グローバルな視点と、スタートアップの可能性を肌で感じ、新たな事業の創造に情熱を注いできました。
その後、国内での三次元MID事業の立ち上げに携わり、2021年10月にセンインテクノロジーズを設立。長年培った半導体業界の知見と、新規事業開発のノウハウを活かし、三次元MIDを通じて日本の製造業の再興を目指しています。
まだまだ三次元MIDの認知度は低いため、デバイスに応用する発想さえ持っていない潜在的な顧客が数多くいます。
2023年時点での世界の「MID市場」は約18億ドル(約2,600億円)と推定されていますが、2024年〜2032年は年率約14.2%の伸長が
見込まれ、2032年には約53億ドル(約7,600億円)まで成長すると予測されています。
弊社は日本のMID専業メーカーとして初めてドイツMID研究協会に入会しており、常にグローバルな視座を持って事業展開しています。
三次元MIDは、1つのプロジェクトにかなりの年月がかかるため、まずは今回のクラウドファンディングや展示会出展等により、
三次元MIDの認知度向上を図るとともに、AIを用いた外観検査や設備投資など新規顧客候補に訴求して販路の裾野拡大を目指します。
代理店契約を結んでいる、半導体関連の世界的な電子部品商社の大きなネットワークを用いて、米国やヨーロッパといった海外への
販路を拡大し、製品の信頼性と有用性をアピールしていきたいと考えています。
クラウドファンディングを利用した目的
MID製品には自信を持っていますが、ニッチな技術なのであまり認知度が高くありません。
展示会等は、もともと事業、製品に興味のある方がメインの対象ですが、株式投資型クラウドファンディングは、不特定多数の投資家にアプローチでき、支援の拡大、認知の向上を図ることができます。
普段のビジネスでは知り合うことのない方々とつながりを持て、新たな市場の創造、マーケティング戦略のひとつとしても大変効果的と考えてプロジェクトをスタートしました。
また、クラウドファンディングを成功させることで、会社の価値も大きく向上し、実績になるとも考えました。
多くの閲覧数があるWEBページで、自社の事業を大々的にアピールでき、なおかつECF事業者への相談開始から入金まで3か月という
短期間で資金調達することができ、大変満足しています。
支援を行った取扱ECF事業者に対する感想

株式投資型クラウドファンディングは初めての取り組みだったので、不安な面も多くありましたが、
今回利用したクラウドファンディング事業者はベンチャー投資の専門家が多く、プロジェクトページの作成から効果的に伴走していただけ、大変心強かったです。
基本的にはBtoBのビジネスのため、個人に事業をアピールする機会はありませんでしたが、
今回、不特定多数の個人投資家に訴えかける手法をアドバイスいただけたことで、
今後の個人向け事業を考えるヒントにもなりました。
クラウドファンディングを利用して、良かった点・苦労した点
良かった点
- 今まで接点のなかった方々に事業を知ってもらえたこと
- プロジェクトを進める中で、自社のビジョンやパーパスを再度見直すことができたこと
- 支援いただけた方々とつながりを持つ中で、新たな市場に気づくことができたこと
苦労した点
- クラウドファンディング利用者向けの事業説明会の準備、集客
- わかりづらい事業をプロジェクトページ内でいかに効果的に伝えるか
今後、クラウドファンディングを利用する方へのアドバイス
自社の事業をわかりやすくアピール
弊社の事業は、専門性が高く、一般的にはなじみのない製品を扱っています。
株式投資型クラウドファンディングの利用者は、不特定多数の投資家であるため、その方々にいかにわかりやすく事業内容を伝えるかが重要です。
図などを用いてわかりやすく製品を説明し、会社の思いや社会的意義を伝えることはもちろん、市場の成長性、将来性をアピールし、
投資家の方々に夢を持っていただけるようなプロジェクトページを作成しましょう。
そのためには事業計画を再度見直し、練りこみ、イグジットも明確に提示しておくと投資家の方々に響きやすいと思います。