稲田 良子 様のインタビュー

稲田 良子 様のインタビュー内容

稲田 良子 様
株式会社シネマリス

ミニシアター誕生!
気軽に立ち寄れる「居場所」を作る
~神保町・お茶の水エリア~

資金調達額
21,439,800
(目標額:7,300,000円)
支援者数
1,479

プロジェクトの概要

配信時代だからこそ、映画館でしか得られない体験を届けたい

老舗のミニシアターが相次いで閉館していく状況に、強い危機感を覚える一方で、近年では個人が主体となってミニシアターを立ち上げる事例も増えていることを知りました。「今の時代だからこそ成立する形があるのではないか?」と考えるようになりました。

その頃、自身の人生においても新しい挑戦を始めたいと感じていたタイミングと
重なり、ミニシアター開業を具体的に検討し始めました。

今は、ネット配信が主流となり、スマートフォンひとつで多くの映画に触れられる便利な時代です。それでもなお、映画館という大きな空間でデジタルデトックスをして2〜3時間作品に没入する体験の魅力に触れてほしいと思いました。

映画はもともと好きでしたが、それを仕事にしようと考えていたわけではありません。
「この体験を次の世代につなぎたい」という思いが、事業として向き合う覚悟へと変わっていきました。

立地として選んだのは神保町エリアです。シネマリス開業予定地の近くには以前、西村伊作、与謝野晶子らにより、
「小さくても善いものを」という理念に基づき設立された文化学院がありました。

彼らの時代よりも大きなものがあふれている今の世の中で、神保町・お茶の水エリアでミニシアターを創り「小さくても善いもの」を
上映したい、私たちが「小さくても善いもの」でありたいとの思いを抱きました。こうした前提を満たす物件と出会えたことで、
構想は現実的な事業計画へと進んでいきました。


構想段階からの情報発信と仕組みづくりが、支援を集めた理由

ミニシアターづくりの過程そのものを価値として伝えたいと考え、物件探しの段階からSNSでの情報発信を開始しました。
クラウドファンディングの活用を当初から想定していたため、事前に認知を広げ、共感を育てることが重要だと考えたからです。

実際にクラウドファンディングを開始すると、「やっと具体的に応援できるようになった」という声が多く寄せられ、
これまでの事前の取り組みが支援という形で結実していることを実感しました。

また、かつて飯田橋のギンレイホールが導入していた年間パスポート制を参考に、サブスクリプション型の仕組みを採用しました。
年間22,000円の会費で年間50本程度の作品が見放題となります。昔の2本立て上映のように、「1本観に来たついでに、もう1本観る」
という行動を自然に促し、さまざまな作品との出会いを提供しています。こうした運営設計が、継続的な来館と支援につながると考えています。


クラウドファンディングを利用した目的

映画館をつくるには、多くの初期費用がかかります。内装工事や設備投資など、個人で負担するには決して小さくない金額であるため、資金調達の手段として利用できるものは積極的に活用したいと考えました。クラウドファンディングを利用している映画館の事例も
参考になりました。

クラウドファンディングは単なる資金調達にとどまらず、開業前から想いに共感してくれる人とつながれる点が大きな魅力でした。
支援の数や反応を通じて、市場のニーズや期待を可視化できることも大きなメリットです。

また、開業後の来館につながる関係性を事前に築ける点も重要でした。
資金調達と同時に、応援してくれるファンを増やすことができると考え、クラウドファンディングの利用を決めました。


支援を行った取扱CF事業者に対する感想

映画館やミニシアターの開業を目指す多くの方が利用している実績を見たこと、
さらに事業者側から直接お声がけいただいたこともあり、
今回のクラウドファンディング事業者にお願いすることに決めました。

はじめての挑戦で具体的なやり方や手順に関しては手探りの状態でしたが、
担当者の方は丁寧にサポートしてくださり、質問にも柔軟に対応していただきました。

おかげでプロジェクトを進める際の方向性を確認しながら進めることができ、
とても助かりました。


クラウドファンディングを利用して、良かった点・苦労した点

良かった点

  • 多くの支援者の応援を受けながら、事業資金を調達できたこと
  • ニュースに取り上げていただくなど、プロジェクトの拡散につながったこと
  • 支援者とメールを通じて直接コミュニケーションを取り、率直な声を聞くことができたこと

苦労した点

  • プロジェクトの進行が停滞した時期に現状を支援者にお伝えするため、情報のアップデートに苦労したこと
  • プロジェクトページの文章作成で正確さを保ちつつ、簡潔に伝えることが難しかったこと

今後、クラウドファンディングを利用する方へのアドバイス

私たちは、スタート直後から多くの支援をいただけたことは大変嬉しかったですが、まだ何も形になっていない状態で資金を預かる
ことに大きな責任も感じました。

支援者の期待を裏切らないよう、どのように信頼してもらうかをチームで徹底的に議論して取り組みました。
クラウドファンディングは単なる資金調達の手段ではなく、支援者との信頼関係を築く場でもあります。
いただいた支援金の用途や、進捗を適切に報告することが必要です。

私たちの経験から言えるのは、「ある程度準備を整えてから開始すること、情報を十分に提示すること、支援者と真摯に向き合うこと」の3つが成功への鍵だということです。

プロジェクトの運営は責任が伴う重要な取組ですが、誠実に対応することで支援者との信頼関係が築かれ、結果的にプロジェクトを
円滑に進める大きな力が生まれるのです。

初めてクラウドファンディングに挑戦する方には、準備と誠実さを何よりも大切にしてほしいと思います。