佐藤 あずさ 様のインタビュー
佐藤 あずさ 様
(株式会社R.project)
14名のアーティストが表現した「柴又」の部屋に滞在して街の魅力を知って欲しい
(目標額:3,000,000円)
プロジェクトの概要
古い施設をリノベーションして宿泊施設をオープン
自分は寅さんで知られる街、東京・葛飾区の柴又でShibamata FU-TEN Bed and Localという宿泊施設のマネージャーをしています。ここは、葛飾区の女子寮だった建物の1階から3階部分を宿泊できるようにリノベーションし、2017年3月に、柴又に1つしかない宿泊施設としてオープンしたものです。地域の人たちに応援してもらい、柴又の良さが本当によくわかりました。
若い世代への認知度の低さ、滞在時間が短いという問題
ところがオープンしてわかったのは、柴又は確かに人気のエリアですが、訪れるお客さまの滞在時間が短いことです。また、年配のお客さまが多く見受けられることもわかりました。もっといろんな世代のお客さまに来てもらい、滞在して柴又の良さを知ってもらいたいと言うことで、今回のプロジェクトを考えました。この宿泊施設の4階はさまざまな人と共に作る施設にするためにあえて未着工にしておいたのですが、アーティストのみなさんの協力を得て、アーティストの感性で「アートで柴又を表現した部屋」にリノベーションした宿泊施設にします。そして、いろんな世代の人がここに滞在し、アーティストが表現した柴又に触れ、その地域の魅力を知ってもらいたいと思い、クラウドファンディングを利用しました。
クラウドファンディングを利用した目的
アートに興味がある人に広く知ってもらいたい
クラウドファンディングを利用しようと思ったのは、まず「資金調達」のためです。しかし、資金の調達だけではなく、アートに興味がある人やクラウドファンディングに興味のある人たちにより広く知ってもらうためには、クラウドファンディングが効果的だとも思ったのです。
自分もクラウドファンディングを使って支援したことはありました。知り合いがお店を出したりするときに「楽しそうだな」と思って協力したりしていました。でも、自分がやると決めてからは、ちょっとドキドキでしたね。
東京都の支援事業を知ったのは、クラウドファンディングに詳しい人から教えてもらいました。
支援を行った取扱CF事業者に対する感想
「一緒にやっていきましょう」という言葉が励みに
クラウドファンディング事業者さんについては、3社に絞り込み、それぞれに「こんなことをやりたい」という問合せをお送りしたのですが、その中で、もっとも早く、ていねいにレスポンスをいただけた事業者さんにしました。今考えると、こちらの希望があれこれ多かったかなと思いますが、そんな問合せに、すばやく的確に返答いただき、しかも手数料もこちらの希望通りでした。さらに、「一緒にやっていきましょう」という姿勢で接してくれたのもうれしかったですね。
達成までギリギリの時期だった今年の2月に、事業者さんから清澄白河で開いたイベントに呼んでもらいました。そのことも大きな後押しになったと思います。また、事業者さんはシステム面でもしっかりしていると感じました。
事業者さん自体に不満はないのですが、支援しようという人が申し込んだ後の送金する仕組みが、もっと多様化されて銀行振り込みやコンビニ支払いなどに対応できるようになったらいいなと思います。今回のプロジェクト、柴又の地域のみなさんに、良くしていただいたのですが、支援してくださる方が送金するときに少し手間取ることがありました。
クラウドファンディングを利用して、良かった点・苦労した点
良かった点
- 効果的なプロモーションができた点(問合せ増)
- 資金調達に成功した点
- 地域の方とゆっくり話すきっかけができた点
苦労した点
- 日々の記事更新がなかなか大変だった点
- やはり達成までにはプレッシャーがかかる点
今後、クラウドファンディングを利用する方へのアドバイス
オフラインの活動が高い効果を生む
まず事前の調査、前段階の準備が必要だということがよくわかりました。その前段階の準備の中でとくに大切なのは「ファンづくり」です。「クラウドファンディングをはじめましたから応援してください」ではなくて、「こういうことがやりたい」と支援者を増やす努力を事前にしておいた方がいいです。もちろんSNSも大事ですが、わたしは「オフライン」(リアルな場)の活動こそが効果的だと考えます。自分たちのプロジェクトに関係ありそうな会に参加したり、地域の話し合いの場に顔を出したりしたことが大きな効果を上げました。
また、プロジェクトを説明するための文章もとても大事です。今回は葛飾の行政のみなさんからアドバイスをいただけてとても助けになりました。いろんな意味で地域のみなさんとのつながりができたこともいい経験となりました。
あと、クラウドファンディング事業者との「意識合わせ」も大切です。そこで食い違いが出ると、あとあとうまくいかない原因になります。何度でも問い合わせて、自分のプロジェクトにあった事業者を選定しましょう。
取扱CF事業者のコメント
最初に「FU-TEN」のプロジェクトを伺った時に、なんて魅力的なんだ!と思いました。
これからの未来を創る新しい価値観を、みんなが過程に参加して作り上げる、それがクラウドファンディングの醍醐味ですが、まさにそれを体現するプロジェクトだと感じました。
古き良き柴又の街を、地元の歴史やコミュニティーと密着した上で、リノベーションで建物を活性化し、まち自体も活性化していく。スクラップ・アンド・ビルドやトップダウン型のまちづくりから、サステナブルでボトムアップ型のまちづくりへ、そんな未来に繋がるプロジェクトです。
MOTIONGALLERYは、まちづくりをはじめとしたソーシャルデザインも含めた意味の広義の「クリエティブ」な活動をみんなで実現する為のクラウドファンディングプラットフォームですが、その意味でも、アーティストと一緒にリノベーションを行う「FU-TEN」のプロジェクトはまさにMOTIONGALLERYらしいプロジェクトでもあり共感して頂ける会員の方も多く、見事目標金額300万円を達成する事ができました。
ファンディング期間中には、MOTIONGALLERYがオーガナイザーも務めているリトルトーキョー@清澄白河の「しごとバー」で一緒にイベントを行ってプロジェクトを盛り上げたのもとてもいい思い出です。そのイベントをきっかけに、MOTIONGALLERYの姉妹サービスの「popcorn」を使って「FU-TEN」で映画上映イベントも一緒に企画しようと盛り上がっていて、今から完成した「FU-TEN」が楽しみです!