【CF活用後の会社の歩み】謝 端明 様のインタビュー

骨を通じて「音」を届ける技術で、健聴者と難聴者の両方に役立ちたい!

BoCo株式会社謝 端明

インタビュー内容

CF資金調達最高額:
164,781,493

支援者数:
7,505

設立:

2015年10月

事業内容:

  • 純骨伝導技術および製品の研究開発、
    製造、販売
  • earsopen(EO)商品開発、製造、販売

受賞歴:

  • グッドデザイン賞(2019/2021/2022)
  • デザインミュージアムセレクション賞(2022)
  • VGPアワード金賞(2021/2022) 等多数

1. 事業概要(起業~クラウドファンディング~事業展開)

「骨伝導」のイヤホンを体験したことはありますか。
一般的なイヤホンは「鼓膜」を通して音を聴きますが、骨伝導タイプは「骨」を通して音を聴くことができる新感覚のイヤホンです。

耳に負担をかけないことが大きな特徴で、耳を塞がないため街中で
音楽を聴きながら環境音を感じたり、会話をしたりすることが可能です。

私たちは、骨伝導の技術専門メーカーとして2015年に創業しました。
イヤホンに埋め込める程の極小サイズかつ骨伝導能力にも優れた振動素子の発明と、量産化する技術力を強みとした音楽用、会話用イヤホンを主に開発・製造しています。

音質や耐久性、フィット感などの機能はもちろん、
コンパクトでファッショナブルなデザインなど全てにこだわりを持ちながら、技術のアップデートを繰り返しながら新たな製品群を次々と世に送り出してきました。

開発では、骨伝導の心臓部である振動素子を、わずか直径「10mm」という円柱状の振動子にすることで、安定した無駄のない振動で
長時間の再生を可能にし、さらには周波数帯域4Hz〜40,000Hzの広帯域・高音質を実現しています。

クラウドファンディングについては創業当初より着目し、2017年に骨伝導イヤホン「earsopen」がクラウドファンディング支援額で
1億円以上を達成することができました。また主力製品の他に、2018年には「docodemoSPEAKER」という骨伝導技術を活かした
「スピーカー」をリリースした時にもクラウドファンディングを活用しました。
このスピーカーは、木製や金属製の机に置いたり壁につけたりすることで、その接触した場所全体をたちまちスピーカーに変身させ、
場所の特性によって音響効果を楽しむことができる製品でした。

その後も機会があるごとにクラウドファンディングに挑戦しています。

実は、日本には軽度の方も含めると2000万人の難聴の方がいて、実際に補聴器などを使用している方は10%にも満たないと言われています。

昨今ではスマホの普及により手軽に音楽などを聴くことができるようになった
ことで、若年層においてもイヤホンの使い過ぎによる「難聴リスク」が危惧される
社会的な課題も発生しています。
私たちは、あらゆる年齢のすべての人に健康的な生活を確保し、公平な生活機会を促進する環境作りができるよう貢献していきたいと思っています。

メガネを身につけるのと同じように骨伝導デバイスを身につけてもらえるよう、
これからも「モノづくりベンチャー」の自負を持って、独自の骨伝導技術を駆使した事業活動に邁進していきたいと思います。


2. 資金調達とクラウドファンディング

私が思う「クラウドファンディング」の一つ目のメリットは、広告代理店を使わずにクラウドファンディングで宣伝することができ、
上手くいけばメディア記事として取り上げられる可能性もあることです。

大企業と違って新製品が出るたびに宣伝に多額の資金は投入することはできません。いくら自信があってもこれから販売する製品や、ニーズを見極めるためのお試し段階の製品ならなおさら広告宣伝費をかけるのは中小企業にとってリスクが高いです。

これまで多くのメディアに取り上げられたことにより、今ではユーザーがある程度ファンとして定着し、
次の新たなクラウドファンディングの挑戦を楽しみにしてくれる方もいて広告面で大いに役立っています。

二つ目のメリットは、資金調達が主目的ではないものの、ものづくりをはじめる時には事前に多くの資金が必要となります。
製品を量産化する前に多くのエンドユーザー様から支援をいただけることで、資金面の心配もクリアになり、無事プロジェクトの目標が達成できた時はとても喜ばしいです。

CF資金調達最高額は、世界初の聴覚補助(集音)機能付のワイヤレス骨伝導イヤホンで2019年11月に達成しました。
また、個人や企業投資から資本金として16億円弱を資金調達しました。


3. 活用する方へのアドバイス

安易な気持ちでクラウドファンディングをやると失敗するリスクがあると思います。

まず、「起案者」は自信を持ってアピールできるような特徴がある製品を選び、
製品自体を「好き」になることが大切です。

そして、リピーターになっていただくためにユーザーの方への「ありがとう」の気持ちをクラウドファンディングの挑戦が終わった後も持ち続けていかなくてはなりません。

安易な気持ちはユーザーの方へも伝わってしまうので「好き」を大切に挑戦して
欲しいです。

さらに、プロジェクトの「タイトル」を考える時には、応援してくれる(サイトを見る)
人達に分かりやすく伝わることに神経を使い、工夫をしたタイトルにすることで
「見る人達」が観覧しやすく受け入れやすくなります。

初めての方は、クラウドファンディング事業者はノウハウがあるので、リターンの価格設定についてのアドバイスや、プロジェクト
ページを作成する時にどんな文章や写真、動画等で訴求すればよいかなどの具体的なアドバイスを積極的にもらって進めてください。

今では、「CF=骨伝導=BoCo」とまで言ってくださる方もいます。
クラウドファンディングは、私たちの熱い思いと常連の支援者様が交流できる場だと思っているので感謝しています。

これからもクラウドファンディングを活用していきたいと思っているので一緒に頑張りましょう。