【CF活用後の会社の歩み】園田 正樹 様のインタビュー

病児保育も産後ケアも使いやすく!目指すのは、それぞれの子育てを歓迎する社会。

株式会社グッドバトン (旧Connected Industries 株式会社) 園田 正樹

インタビュー内容

CF資金調達最高額:
12,958,000

支援者数:
448

設立:

2017年7月

事業内容:

  • 病児保育ならびに産後ケアの検索・
    予約サービス
  • 病児・病後児保育室の経営コンサル
    ティング

受賞歴:

  • 「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS 2023」
    総務大臣賞/グランプリ受賞
  • 「令和4年度デジタルの日good digital award
    2022」優秀賞受賞
  • 「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト
    2020」グランプリ受賞 等多数

1. 事業概要(起業~クラウドファンディング~事業展開)

病児・病後児保育室は、体調不良で保育園や学校を休んだ子どもを、専門知識を持つ保育士や看護師がみる場所です。共働きが当たり前になり、仕事と子育ての両立が求められる時代において、この施設は欠かせない存在です。

しかし、その利用率は決して高くはありませんでした。
その理由の一つが、「予約の煩雑さ」と「認知度の不足」です。

「子どもが急に熱を出した。でも、どうやって予約すればいいのか分からない」
「朝から何度も電話をかけても繋がらない」「やっと繋がっても空きがない」
「手続きのための紙書類が多く、仕事の合間に準備するのが大変」

——私たちは、こうした保護者の悩みを解決したいと考えました。

そんな想いを胸に、2017年に仲間と共に病児・病後児保育室の予約システムを構想しました。
「必要なときに、誰もが迷わず利用できる環境を作りたい」。この強い意志のもと、2019年にはクラウドファンディングを実施し、
多くの支援を受けて2020年にスマートフォンで利用できる予約サービス「あずかるこちゃん」をリリースしました。

「あずかるこちゃん」は、単なる予約システムではありません。病児・病後児保育をよりスムーズに利用できるように、
紙書類の削減、オンライン問診の導入、LINE連携など、さまざまな機能を備えています。

さらに、施設のスタッフが抱える負担を減らし、ケアと保育に集中できる環境をつくりたいという思いもありました。
日々の予約対応に追われるのではなく、子ども一人ひとりにしっかりと向き合える時間を確保できるように、
システムを構築してきました。

ここまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。多くの課題に直面しながらも、解決策を模索し続けてきました。
市区町村や施設、医師会と何度も対話を重ね、課題を共有し、解決策を模索しました。
私は医師としての視点を生かし、全国の70以上の施設を訪問。それぞれの現場で声を聞きながら、一歩ずつ改善を積み重ねてきました。

その結果、あずかるこちゃん導入施設における病児・病後児保育の利用件数は30~70%増加。
現在では全国259施設、21自治体で導入されています。

そして私たちは、新たな挑戦を始めました。

2023年、産後ケアサービスをすべての女性に届けるため、
「あずかるこちゃん産後ケア」の開発を開始。

そのためのクラウドファンディングを実施し、多くの応援をいただきました。

2025年の正式リリースを目指し、現在も開発を進めています。
私たちは、これからも子育て世代の負担を軽減し、より多くの人が安心して
利用できる仕組みを追求していきます。

「子育てと仕事の両立」を支える仕組みは、まだ十分ではありません。
しかし、私たちは、少しずつでも社会を変えていきたいと考えています。

この挑戦の原動力は、保護者や施設スタッフの声、そして私たちに寄せられる応援の力そのものです。

これからも、より多くの方が安心して子育てと仕事を両立できる環境をつくるため、私たちは挑戦を続けます。


2. 資金調達とクラウドファンディング

クラウドファンディングは、私たちが「応援してほしい!」という想いを直接届けられる特別な機会でした。
この取り組みには、私たちにとって3つの大きな意義がありました。

1つ目は資金調達。サービスの改善には何度も改修を重ねる必要があり、そのたびに開発費がかさみます。
創業期に約1,000万円を調達できたことは、サービス開発を進める大きな後押しとなりました。
この資金を活用し、オンライン予約や自動予約確定機能、LINE連携といった使いやすさを実現できました。

2つ目は認知度の向上。病児保育や産後ケアは、多くの方が抱える課題でありながら、その重要性が十分に知られていません。
クラウドファンディングを通じて、多くの方にこの取り組みを知っていただき、社会全体でこの課題を考えるきっかけを作れたことは
大きな成果でした。

3つ目はファンづくり。私たちのプロジェクトページには、目指す未来や活動への想いをすべて込めました。
その結果、多くの方々が共感し、応援してくださることで、「ともに歩む仲間」としてのつながりが生まれました。
この信頼が、2度目のクラウドファンディングでも多くの支援をいただく礎となりました。

しかし、クラウドファンディングは、私にとって単なる資金調達の手段ではありません。
応援してくださる方々と繋がり、次の挑戦への自信を育む特別な機会だと考えています。


3. 活用する方へのアドバイス

クラウドファンディングを始める際は、何のために行うのかを明確にすることが重要です。

私たちにとって最優先だったのは、認知度の向上。
資金調達だけを目的とする場合、労力と効果が見合わないこともあるかもしれません。
プロジェクトページの作成や宣伝には、多くの時間と労力が必要です。

また、クラウドファンディング事業者の選定も成功のカギです。

社会課題や医療分野に知見のある事業者を選ぶことで、適切なアドバイスを得られる可能性が高まります。
過去の成功事例を参考に、自分のプロジェクトに合った事業者を見つけることをお勧めします。