【CF活用後の会社の歩み】鈴木 光 様のインタビュー

奥多摩の地で心に残る
クラフトビール体験を

VERTERE合同会社鈴木 光

インタビュー内容

CF資金調達最高額:
4,552,000

支援者数:
326

設立:
201510

事業内容:
クラフトビール製造

1. 事業概要(起業~クラウドファンディング~事業展開)

私たちVERTERE は、東京の奥多摩発のクラフトビールメーカーで、
直営でタップルームやボトルショップを展開しています。

首都である東京にありながら、町全体が秩父多摩甲斐国立公園内にある、
自然豊かな「奥多摩町」に築70年の古民家を8ヶ月間かけてDIYすることで、
事業をスタートしました。

タップルームがあるJR奥多摩駅は、新宿駅から電車で約1時間40分の位置にあります。
清らかな水と緑豊かな地域柄、1年を通して、多くのハイカーやキャンパーなどが
訪れ、賑わいがあります。週末には、ボトルショップに沢山のビール好きの
お客さまが来店され、お土産を購入されていきます。

VERTEREは、奥多摩の気持ちのいい空気、綺麗な水、きれいな場所でおいしいビールを楽しんでもらいたく、
【誰と、どこで、どうやって飲むかを想像し、心に残るビール体験を創造する。】をコンセプトにしています。

クラウドファンディングは、「グロウラーショップ」を開設するときに利用しました。

JR奥多摩駅には自動車で来られる方も多く、お客様全員にビールを提供するわけにはいきません。

「もっと多くの方にVERTEREのビールを楽しんでもらえないだろうか」。
そう考えた時、一つのアイデアが浮かびました。

欧米では一般的な「グロウラー(ビールを量り売りして、ビール専用の水筒でお持ち帰りいただく)」という
ビールのお持ち帰りシステムがあります。

これを奥多摩で根付かせられないかと思いついたのです。そうすれば、自動車で来店されたお客様にもビールの販売ができますし、
奥多摩のお土産にも最適だと考えたからです。

その後、順調にVERTEREのビールファンを増やしていき、2019年の終わり頃には、缶ビールの全国展開ができるほどになりました。

また、コロナ禍でビールなどのアルコール飲料を自宅で楽しむ需要が高まった
ことも影響し、売り上げは年々伸びていきました。

おかげ様でクラフトビールの知名度も上がった一方、需要に対して生産量が追いついておらず、取引の打診があってもお受けすることができない状態になったこともありました。

そこで、株式会社ジェイアール東日本都市開発や東京都奥多摩町と共に、新醸造所開発に取り組み、2024年2月に「VERTERE 新工場」で醸造を開始しました。

この新工場は、奥多摩町が所有する未利用地に都市開発の一環として、ビール工場を建設するものですが、観光や雇用、税収など
奥多摩町にとっても有益な事業となります。

新工場がフル稼働できれば、今の4倍の出荷量が可能になる見込みです。これまで応えることができなかった国内でのお取引や
お断りしていた海外からのお取引にも対応できるようになります。

また、新工場では醸造施設だけでなく、ボトルショップなどの付加価値施設を設けることとしており、
VERTEREを中心に関係機関が連携し、イベント等を通じて地域の活性化に協働・共創していく予定です。

今後は、JR東日本グループや奥多摩町と連携して、「最寄り駅の奥多摩駅と新工場をつなぐイベント」
「沿線まるごとホテルでのVERTEREビールの提供」「首都圏から奥多摩への送客強化」等、地域の発展に貢献していきます。


2. 資金調達とクラウドファンディング

私たちは、クラウドファンディングを3回ほど実施した経験があります。
クラウドファンディングの良さは、宣伝効果が強いことです。

有り難いことに、今でもクラウドファンディングで支援してくださった方々が、奥多摩の工場までビールを買いに来てくれています。
3回のクラウドファンディングが、VERTEREのビールのファンになるきっかけを生み出すことになったと思っています。

また、新工場を建設する際はこれまでとは違い、事業投資型のクラウドファンディングを利用しました。
事業投資型のクラウドファンディングは、支援者からお預かりした資金で事業を進め、その積み上げられた売上金を分配する仕組みの為、
いただいた資金を直接事業に活用することができます。

そして、出資してくださった方々の為に、常に緊張感をもって事業を進められることもクラウドファンディングの醍醐味なのかなと
思います。


3. 活用する方へのアドバイス

まずは、臆することなく挑戦してみることが大切だと思います。
プロジェクトが成功してもしなくても、何が良くて、何が悪かったのかを見て、
結果をブラッシュアップしていけばいいのです。

私も、1回目のクラウドファンディングでは、ファンが少なく、プロジェクトを達成する為にFacebookなどのSNS等を活用し、宣伝を多く実施致しました。

しかしながら、まだ工場を持っていなかったので「リターン品」のレパートリーが
少なく、割引券だけでは魅力に欠けており、苦戦することもありました。

この経験を活かし、2回目のクラウドファンディングでは、
リターン品にVERTEREの「缶ビール」を用意したのがとても好評で、
プロジェクトページを公開してからすぐに、多くの方からご支援をいただけました。

この時には、既に工場が稼働していたこともあり、VERTEREのビールを知っている、既存のファンの方からのご支援もあり、目標金額を超える資金を調達することができました。

失敗してもその結果を見つめて、それを教訓として成長に繋げていけば良いので、クラウドファンディングに興味があれば、
是非一度、チャレンジしてみてください。