夕刊フジ×銀座セカンドライフ 共同企画

【定年起業への挑戦】シニア起業の強みと弱みを意識する

更新日:2017.06.05

 「スタートアップ」と呼ぶ起業スタイルが若い世代に注目されています。従来はベンチャーと呼んでいたと思いますが、よりスピード感やイノベーション性、高い成長性を重視しているようです。そして投資を呼び込み、上場を目標とする場合が多いでしょう。それはそれで素晴らしいことです。

 では、シニア世代の起業はどうでしょう? 数多くのシニアから相談を受け、支援してきた私が感じるのは、ちょっと若い人たちの起業とは違う特徴があるということです。シニア起業の特徴は「1人起業」「収入よりやりがい」「事業拡大より事業継続」です。上場をしたり、従業員を増やしたりすることをめざすのではなく、年齢に関係なく、働けるうちはいつまでも働きたいという気持ちが核になります。このような起業スタイルを弊社では“ゆる起業”と呼んでいます。“ゆる起業”とは、やりがいのある仕事を身の丈に合った形で起業することです。

 そんなシニアの起業には「強み」があります。豊富な経験や人脈を生かすことができますね。前職で身につけた経験やスキルを生かした事業をはじめた方は失敗が少ないと言えます。
 また、シニアは慎重です。1人起業など事業規模を小さめにしてスタートし、在庫や店舗を持たない事業スタイルを選ぶ方も少なくありません。固定費をかけない分、融資で借金が膨らむことも少ないです。

 しかし、シニア起業の「弱み」もあります。前職の経験を生かして起業することはいいのですが、自社の強みやセールスポイントに無関心な方が多いのです。“ゆる起業”とはいえ、競合は多数存在します。差別化ポイントを意識し、作ることが大切です。(取材・構成:藤木俊明)

銀座セカンドライフ株式会社 代表取締役 片桐実央 プロフィール

片桐実央

行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。

シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。

著書一覧

初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
かながわシニア起業ハンドブック『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
あおもりシニア起業ハンドブック『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)

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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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