夕刊フジ×銀座セカンドライフ 共同企画

【定年起業への挑戦 実践編】「顧問」としての働き方事情

更新日:2018.11.22

「顧問」という肩書は魅力的な響きを持つ。定年後、週1回出社を条件に何社かと契約し、現役時代に近い給与がもらえれば申し分ない。

 登録者を募集企業に引き合わせる顧問紹介サービスの広告には、高額報酬が見込めるとうたうものを見かける。

 ミドル・シニア世代の転職、キャリア開発に詳しい人事コンサルタント天笠淳さん(52)に「顧問の働き方事情」を伺ってみた。

 「大企業にいたサラリーマンは、週1回の出社で1カ月30万程度の報酬の顧問契約をイメージするのではないでしょうか? そして3社ぐらいと契約できればいいかなと。でも、そんなにうまくいかない場合が多いのです」(天笠さん)

 天笠さんは、中堅企業と顧問契約を結んだ人の例を挙げる。週に1度の経営会議への参加で月額報酬が30万円とのこと。ところが、その顧問料の金額が周りに知られてしまい、他の役員などが費用対効果について疑問を持ち、社長に突っ込みをいれたという。

 「結局、その人は毎日通うことを求められ、普通の社員待遇になってしまったそうです」

 それでも再就職できたと考えれば救いがあるかもしれないが、いくつもの会社と契約するビジョンは諦めざるを得なかったという。

 ずっと会社員だった人は、顧問としての自分の価値がよくわからないし、どこまでが自分の仕事なのか判断できないと天笠さんはいう。高額報酬の場合、相手企業は大きな期待をする。

「顧問とはある意味専門職です。相手に費用に見合ったものを提供できるか、どうか。会社を辞めてまもなく、自分の価値がまだ把握できないうちは、高い顧問料での契約を安易に受けない方がいいのではないでしょうか?」

 具体的にどうすればいいのか? 次回にお話を伺う。(取材・構成 藤木俊明)

銀座セカンドライフ株式会社 代表取締役 片桐実央 プロフィール

片桐実央

行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。

シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。

著書一覧

初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
かながわシニア起業ハンドブック『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
あおもりシニア起業ハンドブック『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)

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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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