更新日:2019.02.08
2014年版中小企業白書によると、シニア起業した人のうち23・1%が起業を断念しそうになった経験があるという。そしてシニア起業家が直面した課題で最も多かったという回答は「資金調達」(17・8%)ということだ。これは若者(13・8%)、女性(11・6%)のそれと比較して高い。
本来、シニア世代には、退職金や貯金など一定のストックがあり、起業資金に悩むことはなさそうに見えるが、この先何があるかわからない。ストックには手をつけないように自重しているということだろう。
それは、同白書で述べられている「起業の準備段階にある者が起業を断念しそうになった際の相談相手の有無」にも表れている。シニア世代は「はい(相談相手がいる)」が45・2%と、若者(78・3%)、女性(66・0%)に比べてすこぶる低く、相談相手が少ないことが見てとれる。
その相談相手にしても、シニア世代では「家族・親戚(しんせき)」の割合が42・4%と、若者(38・7%)、女性(33・3%)に比べて高い。若者や女性は、友人・知人や起業仲間、既に起業した先輩起業家にも相談しているようだが、シニア起業家は家族・親戚以外には、あまり相談していないのかもしれない。これらから推測するに、シニア起業家が「資金調達」に悩んで断念しそうになったという背景には、起業資金を退職金や貯金などから捻出しようと身の回りの人に相談して反対にあってしまったということがあるのではないか。
しかし、そこで立ち止まらず、相談相手を探せば日本金融公庫など政府系の金融機関がある。地域の自治体にも相談窓口はあるし、民間の起業相談窓口もある。現在、シニア起業にはいろいろな優遇措置もある。身の回りの人に限定せず、相談相手を広く探してみたい。 (取材・構成 藤木俊明)
行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。 シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。 |
『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
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『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
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『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)
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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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