夕刊フジ×銀座セカンドライフ 共同企画

【定年起業への挑戦 実践編】“世界最高齢プログラマー”が魅せる

更新日:2019.11.28

 若宮正子さん(84)は世界最高齢のプログラマーであり、高齢者向けのアプリを開発したことで米国アップル社ティム・クックCEOに招かれたことで知られる。そんな若宮さんはもともと銀行に勤めていたが、定年近くなってパソコンを習得、パソコン通信上の活動で知られる存在となった。

 そして地元の主婦に自宅でパソコンを教え始めたのだが、そこでExcelを使ってデザインする「エクセルアート」を編み出した。枠を塗りつぶしたりグラデーションをかけたりして、美しいもよう作りを楽しむ。取材時にはエクセルアートでデザインした洋服を持ってきていただいた。

 「女性は編み物とか好きでしょう。Excelの難しい機能じゃなくて、こういう楽しみ方から入るのがいいと思います」(若宮さん)

 若宮さんはパソコンやインターネットが楽しくて好きなことをしてきただけと笑うが、政府の委員を務めたり、講演会や執筆などにも精力的に活動し、現在は年金の他に青色申告をするほどの収入があると言う。

 「でもお金が目的じゃありません。主に高齢者のデジタル活用を推進するNPOの支援に使わせていただいています」

 若宮さんは電子国家として知られるエストニアに興味を持ち、同地に赴いてシニア世代のデジタルについての意識調査を行った。その結果は12月にも公表するとのことだ。また、同月には著書「老いてこそデジタルを」(1万年堂出版)の出版も控えている。

 起業という形にこだわらず、好きなことをやりながら自然に収入も得ている若宮さんの生き方に共鳴する人も多いのではないか。

 若宮さんのように自然体で定年後を楽しく過ごすためにはどう過ごせばいいかと聞くと「まず地元を大切にすることから」と言う。ボランティアなどでもいいから人とのつながりを作ることと話した。(取材・構成 藤木俊明)

銀座セカンドライフ株式会社 代表取締役 片桐実央 プロフィール

片桐実央

行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。

シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。

著書一覧

初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
かながわシニア起業ハンドブック『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
あおもりシニア起業ハンドブック『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)

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17,069

調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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