夕刊フジ×銀座セカンドライフ 共同企画

【定年起業への挑戦 実践編】定年後は“隠れ家”で若手画家を支援

更新日:2020.01.16

 東京・銀座に奥野ビルというレトロな建物がある。その一角に隠れ家として小さな書斎を構えるのが山本冬彦さん(71)だ。山本さんは会社員時代から週末の画廊めぐりを楽しみ、若い画家を応援したいと手頃な価格の絵を買い求め続けた。

 山本さんは定年後に備えて奥野ビルの一室を借り受け、隠れ家のようなコレクションルームにした。もともと事務所ばかりの古いビルだったらしいが、山本さんが誘った形で画廊が徐々に集まり、今では画廊ビルとして知る人ぞ知る名所となっている。

 サラリーマンコレクターとして有名になった山本さんは「週末はギャラリーめぐり」(ちくま新書)を出す。著書を出してから、山本さんには企画展の相談が数多く持ち込まれるようになる。2011年、定年で組織を離れた山本さんは、予定通りこの隠れ家をベースに精力的に活動を開始、年10回程度の企画展をコーディネイトしているという。

 「企画料はいただきますが、それは展示の若い画家の絵を買うのでほとんど持ち出しですが」(山本さん)

 収益のためではなく、あくまで若い画家たちのサポートだ。山本さんは日本のアート業界に強い問題意識があり、若い画家が食べていけないシステムに警鐘を鳴らす。

 「投機のためのアートではなく、普通のサラリーマンが気軽に買い求め、画家に適正な画料が支払われるようになるべきです」それはサラリーマンとしてギャラリーめぐりをしてきた頃からの変わらぬ思いだ。

 この隠れ家は、家族にはずっと内緒だったと山本さんは話す。しかし、息子さんが会社を辞めて独立するとき、法人登記の場所として提供する。息子さんはびっくりしたそうだが、そこから、奥さんだけが知らない父との秘密の場所になった。「幸い息子の仕事は順調で、この家賃は折半にしてくれることになり、楽になりました」と笑った。(取材・構成 藤木俊明)

銀座セカンドライフ株式会社 代表取締役 片桐実央 プロフィール

片桐実央

行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。

シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。

著書一覧

初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
かながわシニア起業ハンドブック『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
あおもりシニア起業ハンドブック『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)

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17,069

調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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