夕刊フジ×銀座セカンドライフ 共同企画

【定年起業への挑戦 実践編】埼玉でも広がる「シニア起業」の輪

更新日:2020.02.20

 2020年1月18日、埼玉県大宮ソニックシティ市民ホールにおいて「シニア起業事例発表会」が開催された。埼玉県はシニア起業に関する取り組みを進めており、今回シニア起業家の話を聞く機会を設けたものだ。県シニア活躍推進課は「想定以上のお申し込み数で反響に驚いています。急遽(きゅうきょ)増席しました」と話す。

 発表会では銀座セカンドライフ代表取締役片桐実央さんがメイン講師として登壇し、自己の強みの棚卸しから事業計画書作成、資金調達の方法、さらには市場調査や販路開拓の方法など起業に必要な知識を話した。

 続いて、埼玉県在住のシニア起業家が登壇、さいたま市で「手編みサロンあみ~ちぇ」代表を務める平田のぶ子さん(60)は、体の不自由な人でも編み物を楽しめるユニバーサルかぎ針を発案し56歳で起業。創業補助金など行政の支援策も活用してきた。「起業と言うより趣味の編み物を生かそうとした結果」と語り、起業で色んな人とのつながりができたと振り返る。

 秩父市で介護タクシー「あべケアタクシー」を営む阿部誠(62)さんは、著名ホテルを早期退職後54歳で介護タクシーを開業。ホテルで養った「察する力」を生かし、気配りの接客を行うとともに固定客を増やす工夫を欠かさないと話す。その結果お客さまも増え現在ご夫婦2台の車で稼働中だ。

 「造型工房キトラ」代表、造型師・岡健之(たけし)さん(58)は、55歳の時模型作品の制作販売で起業したが、そもそも会社員時代に趣味で作った怪獣などの造型物が高い評価を受けていた。しばらく二足のわらじを続け、家のローンや子どもの教育費にメドがついたとき、好きなことで食べていく夢を選択したと言う。

 ほぼ満員の会場には女性参加者も多い。埼玉でもシニア起業への大きなうねりが生じているようだ。(取材・構成 藤木俊明)

銀座セカンドライフ株式会社 代表取締役 片桐実央 プロフィール

片桐実央

行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。

シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。

著書一覧

初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
かながわシニア起業ハンドブック『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
あおもりシニア起業ハンドブック『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)

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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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