更新日:2020.04.02
定年起業を準備している読者は2023年10月より始まる消費税のインボイス制度をご存じだろうか?
インボイス制度が導入されると売り上げ1000万円以下の小規模事業者は仕事が取りにくくなるという声がある。それは本当だろうか?
税理士服部光雄さん(59)にお話を伺った。
現在、消費税は零細な事業者の保護のため2年前の年間売り上げが1000万円を超えない限り免税事業者として消費税を納めなくてもよいことになっている。
しかしインボイス制度をにらんで、課税事業者になることも検討した方がいいのではないかと服部さんは話す。
「インボイス制度が導入されても年間の売り上げが1000万円以下の事業者は消費税の免税事業者であることに変わりはありません。しかし、その場合、取引先にマイナスを与える可能性が出てくるのです」(服部さん)
たとえば課税事業者である顧客N社が仕事を発注したいとする。発注先として免税事業者のあなたA社とインボイスを発行できる課税事業者のB社と2社を比較する。両社とも価格が消費税込みの110万円で品質も同等とした場合、N社はB社を選ばざるを得ないだろうと服部さんはいう。
「あなたA社に発注するより、B社に発注した方が、N社が納税する消費税が安くなるからです。つまりインボイスが発行できないあなたA社に支払う消費税は、N社にとって仕入税額控除できないのです」
起業しても売り上げが1000万円に満たなければ免税事業者だが、このような競争に勝つため、あえて課税事業者になって消費税を納める道を選ぶということだ。しかし当然ながら、消費税の納付は小規模事業者にとって大きな負担となる。どれぐらいの負担になるのか? 次回、服部さんに聞く。(取材・構成 藤木俊明)
行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。 シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。 |
『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
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『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
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『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)
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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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