夕刊フジ×銀座セカンドライフ 共同企画

【定年起業への挑戦 実践編】250万円以下の「少額開業」増える

更新日:2020.09.03

 定年起業を目指す人の悩みの一つが開業資金の調達だろう。退職金には手をつけたくない。コロナで先行きが見通せない中、貯金にも手をつけづらい。

 だがしかし、世の中の流れは「少額開業」に向かっているという調査データがある。

 日本政策金融公庫総合研究所が発表した「2018年新規開業調査」によると、開業費用が250万円未満の新規開業企業(少額開業)は全体の16・7%を占める。さらに、同調査では250万円という金額は「外部から資金調達しなくても開業できる平均的な水準とみなせる」としている。

 少額開業した事業者の開業時の年齢は50歳代が全体の15・6%、60歳以上は7・6%だ。

 少額開業した事業者の顧客を見ると、一般消費者相手(BtoC)が55・7%、事業所相手(BtoB)が44・3%となっている。非少額開業の事業者ではBtoCが73・4%なので、少額開業者の方がBtoB比率が高いようだ。

 従業員数を見ると、少額開業では「1人(経営者のみ)」が53・0%を占める。さらに業種を見ると、「サービス業」(29・3%)「小売業」(13・8%)と続く。

 問題は開業後の経営状況だが、少額開業の事業者は、「売上が増加傾向」と応えた事業者が62・0%、また現在の採算状況についても「黒字基調」と答えた割合が64・8%に達している。スモールスタートした事業者はおおむね順調に事業を継続しているようだ。

 黒字と答えた事業者の月平均利益額は38・2万円と決して高いものではない。しかし、スモールスタートを考える定年起業者にとっては悪くない収益に見えるがいかがだろうか? (取材・構成 藤木俊明)

銀座セカンドライフ株式会社 代表取締役 片桐実央 プロフィール

片桐実央

行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。

シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。

著書一覧

初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
かながわシニア起業ハンドブック『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
あおもりシニア起業ハンドブック『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)

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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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