日経MJ「ゆる起業のススメ」

【ゆる起業のススメ】複数メーカーと連携、提案力に

更新日:2022.03.07

 今回は、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」関連サービスで起業した方を紹介します。小林圭一さん(46)は長年IoT事業に携わり、リネジェス(東京・中央)を設立されました。

 小林さんはハウスメーカーに対して、自社開発のIoTデバイスやシステムを使った住宅の「スマート化」を支援しています。スマート化とは住宅設備の情報処理・管理能力を高めることです。

 スマートフォンやスマートスピーカーを利用した照明、エアコン、カーテンなどの遠隔操作はその一例です。また、あらかじめ決められた条件に従って設備が自動で稼働することも可能となります。

 リネジェスは日本や中国、台湾のメーカーとの強いつながりを生かして、顧客であるハウスメーカーのニーズに合わせた製品・システム設計から部品供給まで一貫して手掛けるのが強みです。

 複数のメーカーと連携することで提案の幅が広がります。もちろん特定の1社と組むのも結構ですが、過度に依存してしまうとこの会社と取引ができなくなった時に事業継続が難しくなるリスクもあります。場合によっては顧客がメーカーと直接取引してし
まうことも考えられます。

 まずはリネジェスのように協業の輪を広げて取扱製品を増やすとともに自社独自のサービスを組み込んで付加価値を高める努力をされるとよいでしょう。

 小林さんは今後、介護業界との連携も考えているとのことでした。自動化で介護業務を便利にする仕組み作りに貢献したいと仰っていました。

 起業家の方になぜ起業したのかお話を伺うと、小林さんのように「社会を変えたい」「役に立ちたい」という強い思いが動機となったという方が多いです。もしそんな思いがあるのであれば、読者の皆さんも起業家になる素質があるかもしれません。

 小林さんに起業を検討している人へのメッセージをお願いすると、「創業前後の事業計画の作成とリスク管理がとても大事だ」とのアドバイスをいただきました。小林さん自身は起業前に副業などを行った経験はなかったそうですが、いま思い返すとリスク管理について学ぶためにも、いきなり起業するのではなく自分のできる範囲で小さく副業を始めてみるのもよいかもしれないとのことでした。(銀座セカンドライフ社長 片桐実央)

銀座セカンドライフ株式会社 代表取締役 片桐実央 プロフィール

片桐実央

行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。

シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。

著書一覧

初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
かながわシニア起業ハンドブック『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
あおもりシニア起業ハンドブック『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)

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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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