日経MJ「ゆる起業のススメ」

【ゆる起業のススメ】建築設計・ブランディング支援を両立

更新日:2022.12.05

 今回は建築設計や企業向けのブランディング支援を手掛けるソライロデザインワークス(横浜市)の今井将さんを紹介します。今井さんは大学で建築を学んだ後、デベロッパーで働きながら一級建築士の資格を取得。転職して設計事務所で経験を積み、2018年に個人事務所として起業し、20年に法人化しました。

 依頼者とまず仕事抜きの関係性を作り、お互いを理解してから受注につなげるスタイルを取っています。ネットでのやり取りだけですべてが完結してしまうことも珍しくない時代ですがこのスタイルを取るのには理由があります。

 建築を依頼する際、まだ形もないできていないものに対し高額の支払いが発生します。お客にとって決断のハードルは高いのです。そこで今井さんは、自分のことをよく知っている人ならばそのハードルが低くなり仕事も頼みやすくなると考えたそうです。

 そのため「遊びの中で出会う」ことを意識しスポーツやバーベキューをはじめとするイベントを年30〜40回開き、交流を通じて参加者に建築士でもあることも覚えてもらっているそうです。

 イベントで数多くの人と出会いますが、仕事につながるのはわずかです。付き合いを深めるには時間が必要となります。ただその分関係性が出来ているため、ビジネスが成立すれば長期にわたる依頼になることも多いそうです。

 建築設計はその都度、新規で案件を取らなければならないので、収入が安定しない面があるそうです。そこで今井さんは企業向けンディング事業も始めました。

 ブランディング事業は、会社や店舗で使うアイテムのセレクトから、文具などのデザイン、ロゴ制作、店舗設計まで多岐にわたるそうです。

 今井さんは事業を進めるにあたり、まずフットサルや本、アートなど趣味ごとに起業家を集めたコミュニティーを作り、出会った人に自身の事業を紹介するようにしたといいます。最初は単発の依頼から始まり、打合せやコミュニティー内での対話を重ねて信頼関係を築き長期的な仕事にも結び付けたといいます。

 事務所を法人化した􈆵年は新型コロナウイルス感染が広がった年でした。事業プランについては当初の思惑が外れ、苦労したといいます。そうした厳しい状況を打破するためにいろいろと新しいアイデアを練り、行動し続けました。起業時から対面での顧客開拓に重きを置く方針でしたが、外出もままならなかった時はオンラインでのイベントも開いたりしたそうです。

 今井さんのようにコミュニティーを自ら育て、仕事につなげることや、うまくいかないときには新たな方法を考え試すことなど、仕事の基本にしっかりと取り組み、継続していくことは大変なことです。「それでも実行する」ことが事業の発展にとって大切なことなのだと、今井さんのお話をお聞きするなかでつくづく感じました。(銀座セカンドライフ社長 片桐実央)

銀座セカンドライフ株式会社 代表取締役 片桐実央 プロフィール

片桐実央

行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。

シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。

著書一覧

初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
かながわシニア起業ハンドブック『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
あおもりシニア起業ハンドブック『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)

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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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