日経MJ「ゆる起業のススメ」

【ゆる起業のススメ】テストマーケで手応えつかむ

更新日:2023.04.05

 今回は、恋愛やスキルアップの相談など女性支援を手がけるSTEP13(さいたま市)の羽林由鶴さん(57)を紹介します。羽林さんは教育研究機関の出版部門に17年間勤務した後、2005年に独立し、06年にSTEP13を設立しました。

 現在は恋愛に関する個別相談、結婚支援、ワークショップや講演、企業向けの人材育成研修と複数の分野で活動しています。その活動の源となっているのは羽林さんのそれまでの人生経験でした。

 会社員の時に夫の暴力が原因で離婚。その後は小さなお子さんを育てながら、働きました。副業もこなして経済面の課題も克服してきました。

 つらい結婚生活やその後の生活での苦労を経験しているからか、羽林さんのもとには同僚や知り合いから仕事、恋愛や家庭の悩みの相談が日ごろから多く寄せられるようになりました。

 一人一人に寄り添い悩みを聞き、相談を受けていると、相談者や周囲の人たちから起業してプロとしてやってもうまくいくのではないか、と言われることもあったそうです。ただ本人はプロとしてやっていくなんて夢にも思っていませんでした。

 それでも多くの人から勧められ、まずはブログを作成し、メールマガジンの配信も始めました。これらを通じ、テストマーケティングとして無料体験を実施したところ、評価は上々で、手ごたえを少しずつ感じるようになりました。そこから起業という選択肢が現実味を帯び、恋愛や結婚を中心にしたカウンセラーとしての独立に結びついていきました。

 羽林さんはご自身のブランディングには特に気を使っています。特に露出する「媒体の選び方」には慎重です。「どんな媒体か」「読者層はどういった人たちなのか」「その媒体に露出すると自身の顧客や潜在顧客からどういった見られ方をするのか」を調べ、「それならばどんな見せ方をしなければならないか」を考えるそうです。

 そうしたセルフブランディングの観点から初めての著書を出す際の出版社も選んだそうです。起業したてのころ、大型書店の恋愛の分野の棚にある本の出版社から、女性向け雑誌も出しているところを選び企画を持ち込んだそうです。

 長く出版に携わる仕事をしていた経験から、読者をつかむための企画力を持つ雑誌も発行している出版社と組むことが自身のブランディングを後押ししてくれると判断したためでした。

 著書は最初の1冊目で次も出版できるか決まるといわれています。その後何冊も著書を出されているので、やはり1冊目の成果が大きかったのでしょう。

 羽林さんが、これから起業する方に向けて「楽な起業はないけど、苦しまない起業」を目指してほしいと話されていました。やはり起業においては、テストマーケティングやブランディングが不可欠だと感じました。

 そこまで気が回らないという方もいますが、大切な要素なので起業するときはお客からどう見られたいのかを、立ち止まって考えていただきたいと思います。

 (銀座セカンドライフ社長 片桐実央)

銀座セカンドライフ株式会社 代表取締役 片桐実央 プロフィール

片桐実央

行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。

シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。

著書一覧

初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
かながわシニア起業ハンドブック『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
あおもりシニア起業ハンドブック『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)

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16,930

調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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