更新日:2016.02.10
長年、経理の仕事をしてきた男性(63)が、経理事務代行業で起業しようと考えました。他の会社の経理などの事務を請け負う仕事です。それまでのキャリアを生かせる一方、起業に当たってはいくつかコツがあります。今回は、事務代行業のコツとリスクについてお話しします。
ひと口に事務と言っても範囲は広く、経理に限らず、庶務、労務、総務、広報のほか、情報システムの管理や営業支援、採用代行なども含まれます。これらの事務作業はどんな会社にも必要なので、中小企業に「事務処理をアウトソーシング(外注)して、労力や人件費を削減しませんか」と営業すると、比較的仕事を取りやすいと言えます。
つまり、事務ができる方は手に職があるということ。起業して、すぐに売り上げを上げられる可能性が高いのです。
一方、難しい面もあります。まず事務代行で起業する人は多く、競合他社が多いので、価格競争が激しいこと。また、当然ながら、自社の事務を外注する依頼主にとっては、「任せて安心」と思えるだけの信頼が不可欠。請け負った仕事を正確に、迅速に行い、地道に信用を築いていくことが求められます。
また、価格競争に巻き込まれないためには、他社にはない付加価値のあるサービスが必要です。例えば、時間制にして1時間から仕事を請け負う、社会保険労務士や税理士らと提携し、より専門的な事務や相談もできる、といったことです。
事務処理自体は、ノウハウがあれば1人でも完結できますが、ある程度の量の仕事を受注し、スピード感を持って仕上げないと、十分な売り上げを上げることはできません。そのためには人を雇用するか、請け負った仕事を外部に再委託することも選択肢の一つです。あるいは、事務代行の仕事を他社に紹介し、紹介手数料をもらうという事業にする方法もあります。
男性はまず、以前勤めていた会社の顧問だった税理士の事務所から、定期的に経理業務の仕事を受注しました。また、新規顧客を獲得するため、中小企業の経営者が集まる交流会に頻繁に参加し、人脈を広げています。《
行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。 シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。 |
『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
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『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
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『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)
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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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