更新日:2016.03.02
女性用のTシャツを制作・販売する会社を経営する男性(44)がいます。生地を仕入れて縫製工場に持ち込み、完成した製品を販売店に卸しています。製品自体の評判は良いのですが、代金が入るのは卸してからなので、大量注文されると、仕入れ資金の工面に苦労することがありました。売り上げがあって利益が出ていても、入金のタイミングがずれて仕入れ先や外注先、従業員への賃金を支払う資金が足りず、経営が厳しくなることがあります。これを黒字倒産といいます。そうならないために、今回は運転資金の不足を防ぐためのポイントを紹介します。
【入金、支払い時期の交渉】顧客からの入金は、注文時の前払いか、納品時に現金で支払ってもらうのが一番ありがたいですが、事業によっては難しいこともあります。例えば毎月末日を1カ月分の取引代金の締め日として請求書を作成し、翌月の20日に振り込んでもらう、といった場合です。この締め日から支払日までの猶予期間を「支払いサイト」といいます。運転資金に苦労しないために、取引を始める前に、この猶予期間をなるべく短く設定できるよう交渉しましょう。
逆に、仕入れ先・外注先などへの支払いは遅らせたいところ。起業したばかりのときは、信用力も低く言い出しにくいですが、取引量が増え、安定した取引ができてきたタイミングで交渉してみると、成功することもあります。
【資金繰り表の作成】毎月いくら入金があり、いくら支払わなければならないかを予測して、収支の動きを把握するための表を作成しましょう。少し長めに向こう3年(36カ月)分の収支予測を書きだしてみると、いつ頃苦しくなりそうかという見通しが立ちます。資金繰り表のひな型はインターネットから入手できます。
予測してみて資金不足になりそうなら、早めに資金を調達する準備をしましょう。支払日が迫ってから金融機関に融資を申し込んでも、審査に時間がかかる場合もありますし、必ず支援してくれるとはかぎらないからです。
男性は、自社の事業がそもそも資金不足になりやすいビジネスだと理解し、資金繰り表は定期的に作成するようにしました。そして、融資が必要なときのために銀行との関係づくりも大切にしました。
行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。 シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。 |
『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
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『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
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『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)
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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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