更新日:2016.05.11
近年増えている外国人観光客、中でも障害のある方を対象に観光名所を案内する事業で起業した女性(57)がいました。大病を患った経験があり、ハンディのある人にも日本を楽しんでほしいそうです。この事業には海外の方にアピールするためのホームページの制作費や、ガイドを手伝ってもらう人の人件費が必要。負担が重くなりそうなので、助成金を探しています。助成金についてはこのコラムでも何度かお伝えしていますが、改めてフル活用する方法をお伝えします。
まずおさらいですが、融資と違って助成金や補助金は返済不要。国や地方自治体などが中小企業を支援するために用意した制度ですので、利用しない手はありません。
助成金・補助金の種類は創業支援や人の雇用、販路の拡張など多岐にわたります。目的に合ったものを探すには、中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J-Net21」(http://j-net21.smrj.go.jp)にある「資金調達ナビ」が便利。事業所のある都道府県別に目的に合った助成金・補助金を探せます。
この女性の場合、例えば手伝ってもらうスタッフに、母子家庭のお母さんを採用すると、厚生労働省の「特定求職者雇用開発助成金」を受けられそうです。同様に高齢者の方、あるいは働くことのできる障害者の方などを雇用する際の助成金もあります。
助成金や補助金は、返済の必要がないという大きな利点がある一方、以下に挙げるような注意点もあります。(1)基本は「後払い」(2)経費の全額は支給されない(3)審査を通過する必要がある(4)申請前にかけた経費は助成や補助の対象にならない(5)公募期間が限られている-などです。
(1)は、創業時にかかる経費の一部を補助してくれる創業促進補助金を例にとると、補助率はかけた経費の3分の2、200万円が上限です。ということは、逆に言えば200万円の補助金をもらうためには、300万円の経費をかけなければなりません。つまり、手元に一定の資金が必要。また、審査通過後に受給する際には、その経費を実際に使ったことが確認できる書類を提出する必要があります。
女性はさっそく助成金を調べ、利用できそうなものを見つけました。公募が始まったらすぐに申請できるように準備を始めています。
行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。 シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。 |
『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
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『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
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『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)
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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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