更新日:2016.08.17
地方移住を支援するビジネスで起業しようと思っている男性(54)がいました。現在は会社員ですが、会社を辞めて早く起業した方がよいのか、定年まで勤めた方が有利なのか迷っています。起業にあたり、会社を辞めるタイミングについてお話しします。
起業のタイミングは人それぞれ。前職を辞めるタイミングも一概に「ここがベスト」とは言えません。私が見てきた例をいくつか紹介します。
(1)起業に必要な人脈や知識にめどがついた 起業したい事業に対する理解が深まったとき、辞める人が多いです。資格を取ったときや、区切りとなる仕事をやり遂げたとき、という人もいます。
(2)事業計画書が完成した 起業後の具体的な計画をまとめた事業計画書ができたとき、という方も多いです。ただし、一度書き上げたら終わり、というものではありません。実現できるものに検討を重ねる必要があります。
(3)有利な退職ができる 早期退職制度などを活用し、有利な条件で辞める人もいます。ただ、一般的には定年退職よりも退職金が目減りするケースが多いので、人事制度を確認しましょう。
(4)家族を説得できた 起業にはリスクがつきもの。家族の反対は珍しくありません。子供の受験やローン返済など家族のライフプランと、起業後の事業見通しを並べた「ライフプラン表」を作り、家族と話し合いましょう。家計の収支や貯蓄の計画が具体的になると漠然とした不安は少なくなります。起業後の成功に家族のサポートは不可欠。しっかりと理解を得ておくことをお勧めします。
(5)資金面のめどがついた テスト販売で手応えを感じたときなど、起業後の売り上げや収入が具体的に見えると、退職する決心がつきやすいようです。また、金融機関の融資が受けられる、行政の補助金申請が採択されるなど、資金調達ができそうな状況になって、ようやく決心できる、という方もいます。
男性は事業計画書を練り直し、奥さんと今後の家計についても話し合いました。少し時間はかかりましたが、家族の了解を得て退職し、翌月に会社を立ち上げることができました。
行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。 シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。 |
『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
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『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
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『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)
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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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