更新日:2016.12.21
飲食店の経営者や従業員を対象に、訪日外国人客(インバウンド)への接客研修を企画する会社を立ち上げたい女性(46)がいました。起業の際、店舗賃料や広告宣伝費用を節約できないか相談を受けました。今回は、固定費節約のコツをお伝えします。
いくら事業の成功に自信があったとしても、リスク回避の段取りを踏むことは不可欠と心得てください。起業時は小さな事業規模から始めることがポイントです。つまり、初期投資を抑え、毎月かかる固定費を少なくすることです。万が一、思うように事業が展開できなかったとしても、損失を最小限にとどめることができるのです。
では、固定費ごとにどのような対策を取ればいいのか、具体的に見ていきましょう。
店舗賃料 まず店舗を持たずに事業ができないか考えてください。例えば、客が来店するサービスではなく、自らが顧客のところに足を運べば、店舗はなくても事業は可能です。
事務所賃料 店舗同様に、事務所も必需というわけではありません。自宅を事務所として利用したり、レンタルオフィスを利用したりすることを検討してください。
在庫 小売業などの場合は、在庫を持たなければ、売れ残りのリスクを回避できます。例えば、仕入れ先と販売先に直接取引をしてもらって、自社はその売り上げに対して、一定の割合を手数料として得るなどの方法があります。注文を受けてから仕入れる「受注発注」の形態を選べば効果的。インターネットを活用して通信販売の方法を取ってもいいと思います。
人件費 従業員を雇うと、毎月の人件費以外に、社会保険料の負担も発生します。自社でまかなうのではなく、外部の業者に依頼するなど、費用が安くなる方法を模索してほしいです。
広告費 無料や低料金で広告物を制作できるサービスが増えてきています。チラシやホームページを業者に依頼するときも、ネットを通じて不特定多数の人に仕事を発注する「クラウドソーシング」と呼ばれるサービスを活用すれば、より低価格で仕事を請け負ってくれる取引先を探すことができます。
女性は、事務所を持たずにレンタルオフィスを借りて法人登記しました。研修の要請を受けたときだけ、外部に資料の制作を依頼し、その都度料金を支払う請負契約にして、固定費の節約に努めています。
行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。 シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。 |
『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
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『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
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『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)
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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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