更新日:2014.06.03
前回、株式会社の設立方法をお伝えしましたが、今回は定年起業に人気のNPO法人を取り上げます。NPO法人は正式には「特定非営利活動法人」と言いますが、「非営利」という表現から、利益を上げるような活動はできないのではないか、活動はボランティアに限られているのではないか、と思う方が多いです。NPO法人はどのような組織かを説明します。
以前紹介した株式会社設立の場合と比較しながら説明します。まず、株式会社と同様に「定款」が必要です。定款に記載する主な事項は、(1)事業目的(2)商号(3)本店所在地(4)役員に関する事項-などで株式会社と似ています。ただし、異なるところがありますのでご注意ください。
事業目的ですが、NPO法人は法律で活動領域が「保健・医療、または福祉の増進を図る事業」「社会教育の推進を図る事業」「まちづくりの推進を図る事業」など20種類の活動に限定されています。不特定、かつ多数の者の利益の増進に寄与する活動ということで、簡単に言うと、広く社会一般の利益につながる活動ということになります。NPO法人の設立をお考えの方は、取り組もうとする活動が20種類の活動に当てはまるか否かを確認する必要があります。
次に資本金についてですが、NPO法人の場合は資本金というものがありません。言い換えると、資本金を用意する必要がありません。よって、同時に株主という存在もありません。ただ、設立の要件として、「社員」という立場の人を10人以上募らなければならず、株式会社のように資本金を用意して、たった一人からでも設立できるのとは大きく異なります。10人以上の社員を募るという点で苦労される方が多いようです。
設立についてもう一点。設立にどのくらいのお金がかかるのか気になるところですが、これはズバリ0円です。株式会社の場合は約20万円の設立費用が必要ですが、NPO法人は設立費用がかかりません。NPO法人設立をお考えの方にとっては大きなメリットですね。
最後に、よくご質問のある「利益を上げても良いのか」という点について。NPO法人は収益を上げてはならないといった誤解をされることがよくありますが、誤解です。NPO法人が提供する商品・サービスは無料にしなければならないということはなく、有料で提供しても構いません。また、主要な事業からの収入が見込めないような活動をしている場合、一般的に、そのまま無収入で活動を継続することは困難です。しかし、主要事業のほか、「その他事業」として事業活動に充てるための資金を稼ぐ収益活動をしても構いません。
事業によっては株式会社などの営利法人で行うよりNPO法人で立ち上げた方が仲間を募りやすく、行政との連携もしやすいことがあるので、NPO法人もお勧めです。
行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。 シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。 |
『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
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『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
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『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)
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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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