更新日:2014.09.23
弊社に以前、「家事を代行するサービスを提供したい」という男性経営者からの相談がありました。偶然ですが次の日に同じサービスを提供したいという別の男性経営者からの相談もありました。同じサービスを考えた2人ですが、全く違う事業計画でした。
1人は定年後に自宅にいて奥様の家事を手伝ううちに、自分が家事にのめり込み、その面白さ楽しさを人に伝えたいというのが起業の動機です。男性向けの家事教室を開き、教室の卒業生に家事代行サービスの仕事をしてもらう、という計画でした。
もう1人の計画は以下のようなものでした。家事代行は女性の社会進出が進むため、今後、需要が見込まれるだろう。きっとニーズもあるだろうし、事業をやりたい。でも自分は全く家事をやったことがなく、あまりやりたくないから普段家事をやっている主婦を雇おう。
家事代行サービスを選んだ発想は良いのですが、小規模で起業する場合、最初からスタッフを雇用して人件費を捻出することは、難しいのが現状です。また、雇用せずに、家事代行の仕事の依頼がある都度、スタッフを確保しようとすると、思うように日程調整できず、せっかくの売り上げの機会を逃してしまうかもしれません。
最初は、スタッフが確保できない場合は自分で家事代行をするぐらいの心構えがないと、いつまでも売り上げが増えないという事態になりかねません。
同じ事業でも、ポイントを押さえて事業計画を考えているか否かが、事業の成否の分かれ目になります。事業計画を練り直す際に、参考になるのが、補助金の採択者(補助金の対象になった事業)です。
以前、このコラムで紹介した平成25年度補正予算の「創業促進補助金」の6月30日締め切り分は、8月末に採択者が決定しました。「創業」の枠で採択された事業者一覧は、中小企業基盤整備機構のホームページで確認できます。
一覧には、事業活動をする都道府県や名前、事業のテーマなどが掲載されています。申請内容そのものは分かりませんが、事業テーマを見ると、どのような内容を書いたのか推察することができます。
また、審査は次のような視点で行われます。創業動機が明確か▽提供する商品・サービスは独創的か▽ターゲットは明確か▽競合他社と比較し、品質・価格に競争力があるか▽事業の知識、経験、ネットワークが生かされているか▽提供する商品・サービスのニーズはあるか▽販売先、仕入れ先のルートは確保されるか▽売り上げ・経費に根拠があるか▽事業に必要な従業員、ビジネスパートナーなどが、確保される見込みがあるか▽創業後の具体的な計画は▽創業に向けての準備状況は-などです。
これらは他の補助金やビジネスプランコンテストでも、とても大切です。ご自身の事業計画をもう一度見直し、各ポイントを点検していただきたいと思います。
行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。 シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。 |
『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
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『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
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『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)
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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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