更新日:2014.11.04
定年前後に起業しようとしたとき、どのような事業にしようかと悩む方が多いです。そんなときには自分の強みを生かして、市場環境に適合した事業を考える「SWOT分析」という方法がお勧めです。
「SWOT分析」とは、自分の強み(Strength=S)と弱み(Weakness=W)という内部環境、市場における機会(Opportunity=O)と脅威(Threat=T)という外部環境を組み合わせ、どこに事業のチャンスがあるかを見つけ出す基本的な手法です。
それでは、各要素の具体的な導き方についてみていきます。
まずは「強み」の部分。自分のこれまでの経験や知識から「自分の得意なこと」を挙げていきます。加えて家族や友人、会社の知り合いなど、周囲から自分が評価されていることも入れると良いでしょう。自分では気付いていないことや自己評価の低いことも、周囲からは強みと見えることもあるからです。一方、「弱み」の部分には自分が苦手としている分野や、起業するには不足していると思う要素などです。
次は「機会」「脅威」です。世論や法律、ニュースなどから社会や市場の動向を分析します。起業しようとする事業にとってチャンスとなる場合は「機会」、チャンスとならない場合は「脅威」として記載しましょう。構想段階にある事業アイデアにとって、今の社会情勢が追い風なのか向かい風なのか、冷静に幅広く考えることが大切です。正解はありませんし、事業内容によっては機会と脅威が逆転することもありえます。
このように導きだした4つの要素を交差させて、自分の強みを生かし、弱みを克服しつつ、外部の機会を最大限に利用して狙うべき事業分野を検討します。
この手法をSWOTの「クロス分析」と呼びます。クロスには内部環境×外部環境で4つの組み合わせがあります。具体的には(1)S(強み)×O(機会)(2)S(強み)×T(脅威)(3)W(弱み)×O(機会)(4)W(弱み)×T(脅威)の4つです。中でも(1)が大切で、起業する際は自分の強みを生かして機会をつかみましょう。
「SWOT分析」をしっかりすると、市場から求められていることに対し、どのように自分の強みを生かした商品やサービスを提供できるのかが見えてきます。
私は起業したときには3カ月ほどかけて、自分の「SWOT分析」をしました。分析を進めていくと一般的な情報に基づいた漠然とした事業になってしまうことが避けられるのです。「最近、あの事業がはやってそうだから」「あの人はもうかってそうだから」という理由で決めるのではなく、ご自身ならではの事業を作り出しましょう。
起業を検討するには初期段階からこのような手法を活用し、さまざまな角度から検討し、試行錯誤を重ねて、自身が優位に立てる位置を発見することが大切です。
行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。 シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。 |
『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
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『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
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『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)
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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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