更新日:2014.11.18
生きがいを目的とした定年前後の起業でも、当初はなかなか売り上げが伸びずに焦ることが多いのが実情です。このため起業前には、1年分の売り上げと利益を予測しておくことをお勧めしています。
まずは損益計画を作りましょう。損益とは売り上げなどの収益から経費などの費用を差し引き、ある一定期間に会社が生み出す利益を示す数字(金額)です。1年分を予測することで、その事業が成り立つかどうかを検証でき、事業戦略の見直しにも役立ちます。
損益計画の作成方法は、1カ月の売り上げと経費を予測し、1カ月分(月次)の損益を12カ月分積み上げることで、1年間(年次)の計画を導きます。
起業前に、初年度の売り上げを予測するのは大変難しいです。しかし、経費はある程度予測できます。経費から逆算して、最低限確保しなければならない売り上げを予測するという方法もあります。
もし、売り上げ予測に比して経費が多すぎるようなら、経費を抑えるために事務所の賃借料と人件費を下げるといいでしょう。起業当初から立派な事務所を構えるのではなく、自宅やレンタルオフィスでスタートし、人を雇用することなく必要な業務を外注する方法もあります。
さらに店舗を持つ、あるいは仕入れをするなどのリスクの高い事業を行う場合は、「楽観的」と「悲観的」の2つのパターンの損益計画を用意しましょう。
損益計画上は黒字でも、経費の支出までに売り上げの入金が間に合わず、黒字倒産の事態も考えられます。お金の流れを把握するために「資金繰り表」と呼ばれる会計手法を取り入れると、さらに安心です。資金繰り表を作ると、入金の時期など、時系列に沿ったお金の出し入れが分かり、手元資金がゼロになるのを防ぎます。
損益計画を作成し、いよいよ起業したら、計画上の金額と実際の金額の差が分かるよう会計簿に記録しましょう。計画と実績との差を知り、その対応策を練ることを「予実管理」といいます。売上高が計画に達していない場合は、客数が足りないのか、客単価が低いのかなどを分析して、対応策を検討することが必要です。
このような予実管理は、月ごとに行いましょう。毎月10日までには、前月1日から月末までの損益を計算するのが理想です。
また、ある程度事業が安定してきたら、中期的(3年程度)な実績の年次比較をしましょう。事業が成長しているのか、横ばいなのか、季節による売り上げの変化-などの情報が得られ、取り組むべき課題が明確になります。
しっかりした損益計画は、事業への信頼性を高めます。金融機関からの融資や国や地方からの補助金の交付を受けやすくするメリットもあります。
損益計画を作成することで、ご自身の事業の進め方をより確実なものにしてみてはいかがでしょうか。
行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。 シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。 |
『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
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『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
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『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)
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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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