更新日:2015.09.16
海外から化粧品を仕入れ、日本で販売予定の男性(61)から法人設立についての相談です。出資金の範囲内で責任を負う有限責任の会社形態には「株式会社」と「合同会社」があります。米国など海外と取引する場合は、「合同会社」がお勧めです。
合同会社は、平成18年に施行された会社法により新設された会社形態です。株式会社とは異なり、株主総会などの意思決定機関の設置が不要です。会社法や公序良俗に反しなければ出資者(社員)の間で利益の分配を自由に設計でき、経営の自由度が高いのが特徴です。
合同会社を設立するにはまず、定款を作成します。定款とは会社の商号、目的、本店所在地、社員の氏名・住所、社員の出資の目的とその価額などを定めた、いわば会社の憲法です。株式会社の場合は、公証役場での認証が必要ですが、合同会社では認証を受ける必要がないため、設立費用は登録免許税6万円のみと低額です。
株式会社は定時株主総会の後、貸借対照表か、その要旨を公開する「決算公告」の義務があります。合同会社にも決算は必要ですが、公開の必要はありません。法人税など税金面については、株式会社と同じ扱いです。
合同会社というと、何人かで起業したような名称ですが、1人で設立が可能です。役員の任期を定める必要がないので、再任する手間や手数料がかかりません。
合同会社を英語で表記すると有限責任会社、Limited Liability Company(通称LLC)となります。LLCは米国で普及している会社形態なので、米国の企業と取引する場合は、信用を得やすいでしょう。
一方、日本では株式会社より知名度が低いという短所があります。株式会社の代表は「代表取締役」ですが、合同会社の代表者の役職は「代表社員」になります。新しい会社形態のため、取引先からの信用を得にくいことがあるかもしれません。これらの点が気になる場合は株式会社を検討しましょう。合同会社として設立した後、株式会社へ移行することも可能です。
この男性は、海外企業との取引が多いことを考え、合同会社を設立しました。多数の海外企業と取引し、順調に事業を行っています。
行政書士、1級FP技能士。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社 法務・コンプライアンス部門法務部に入社し、法律の専門家としてアドバイス。その後、大和証券SMBC株式会社引受審査部に入社し、IPO支援を経験した後、祖母の介護をきっかけに、一生を通じて生きがいを感じる生活を実現するための支援がしたいと思い、2008年7月銀座セカンドライフ株式会社を設立、銀座総合行政書士事務所を開業し現在に至る。 シニア起業の支援会社として、①起業コンサル・事務サポート(起業相談サロン)、②レンタルオフィス運営(アントレサロン)、③セミナー交流会(アントレセミナー交流会)を開催している。年間の講演は100回を超え、毎月150件の起業相談を受け、これまで7,000件を超える。 |
『初心者のためのセカンドライフ起業スクールハンドブック』(神奈川県生涯現役促進協議会)
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『かながわシニア起業ハンドブック』(神奈川県)
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『あおもりシニア起業ハンドブック』(青森県)
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調査期間:2023年1月13日~2023年1月16日
調査元:JAPAN TRUST RESEARCH
対象:20代~60代の女性・男性(n=105)
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