「ビジネスマナー?新人研修の時に習得したから大丈夫」と思われる方も多いでしょう。
社会人経験が長い方、起業して間もない方や、起業を考えている方は、どうしたら売上を伸ばし、安定した収益を得られるか熟慮し、必要なスキルを磨くよう努力しているに違いありません。
仕事に直結する技術や能力は、起業家を含む社会人にとって必要不可欠ですが、ビジネスマナーは立場や年齢に関係なく社会人にとっての共通の基礎スキルであり、同じ行動でも全体的な印象に違いが出るものです。ここでは、ビジネスマナーのベースとなる考え方に加え、電話応対や名刺交換などの立ち居振る舞いを改めて考えます。
ビジネスマナーとは
ビジネスマナーとは、仕事をするうえで身につけておくべき作法を言います。
ビジネスマナーの根底にあるのは、相手へ思いやりや、お互いが気持ちよく過ごせるようにという配慮の気持ちです。ビジネスは一人では成立しないため、仕事を円滑に進めるうえで、ビジネスマナーは重要な働きをします。
逆に、ビジネスマナーができていない人は、仕事を任せる相手として疑問を抱かれる可能性があり、ビジネスパートナーに向かないと判断されるかもしれません。ルールや規則ではないので、これといった正解はないものの、最低限身につけておくべきビジネスマナーは存在します。
例えば、挨拶や言葉遣い、名刺交換、電話応対、訪問時や来客時の対応などです。
挨拶・言葉遣い
ビジネスマナーの基本に挙げられるのは、言葉遣いです。
社会人は、さまざまな場面でコミュニケーションが求められるので、挨拶や報告・連絡・相談、電話などの際に、自分がどんな言葉を発するのか、気を遣うのは大切といえます。
挨拶をきちんとして、安心感や信頼を持たれるような言葉遣いや話し方を心がけたいものです。
仕事での会話では、敬語を適切に使えるようにしておきましょう。
尊敬語と謙譲語を混同すると、ビジネスマナーができていないと思われてしまいます。
男性であっても「私」を使うのが無難ですし、「わかりました」に変えて「承知いたしました」という方が丁寧です。「恐れ入りますが」「お手数ですが」など、相手に敬意や配慮を示す言葉遣いも大切です。
電話対応
近年は、ビジネス上のやり取りをメールやチャットなどで行う機会が増えましたが、直接話した方がお互いの理解が進むことも多く、電話応対の品質は向上させておきたいものです。
まず、電話がかかってきたら、3コール以内に出るようにします。3コール以内に電話に出られなかった場合は「お待たせいたしました」とお詫びします。ビジネスの電話口での第一声は、「お電話ありがとうございます」というのがふさわしいといえます。
電話は、広範囲の音を拾う性能があるので、はっきりした口調で話し、メモを取って、最後に確認するようにします。電話を終える際は、かけた側が先に切るのが基本です。電話を切る際は、受話器を静かに置くか、フックを押すのがスマートです。
訪問・来客対応
訪問や来客の機会は、ビジネスを拡大するチャンスになり得るため、マナーはより大事になってきます。
訪問時
初めて相手先に訪問する際は、地図を確認したり、経路検索などを使って、アポイントの時刻に余裕をもって到着できるよう準備します。約束の10分前に到着し、コートやマフラーなどを脱ぎ、手に持ってから受付に行き、担当者への取次ぎをお願いしましょう。通されたお部屋では、指定がない限り、下座に座ります。荷物は足元に置き、担当者が部屋に入ってきたら立ち上がり、挨拶します。
来客時
アポイントの時間の10分ほど前には仕事をひと段落させ、身なりを整えたり、名刺や資料の確認をします。起業したばかりで多忙を極めていると、ぎりぎりまで仕事を入れてしまいがちですが、新たなビジネスチャンスを棒に振らないためにも、ぜひこの点は注意したいものです。
継続的なビジネスにつながる重要性の高いお客様の場合は、来客時に電話が入らないようにしたり、エントランスで待機するとよいかもしれません。お部屋まで案内する時は、お客様の右斜め前の2~3歩先を歩くようにし、お部屋についたら出入り口から遠い上座に案内します。
名刺交換
名刺交換は、初対面の方と仕事をするうえでの最初のステップで、ビジネスマナーが問われる場面といえます。ネームバリューのある会社で働いていた方が起業家になると、相手との上下関係が逆転するケースもあるため、名刺交換は気を付けたいシチュエーションです。名刺交換の手順を追いながら見ていきましょう。
名刺交換は、名刺入れから名刺を取り出し、一番上に名刺を置いて名刺入れと重ねて両手で持ち、互いに自己紹介するところまでは一緒ですが、基本的に立場が最も上の方から順番に名刺交換を行います。その後、右手で自分の名刺を渡し、左手で名刺入れを持ちながら相手の名刺を受け取ります。
取引先の方が立場が上の場合は、名刺を同時交換する際、相手よりも低い位置で名刺を渡します。名刺を受け取ったら「よろしくお願いいたします」と挨拶し、両手で名刺を持ちます。名前の漢字の読み方は難しいので、名刺交換した後には必ず、相手の名前の読み方を確認しておきましょう。
まとめ
ビジネスマナーは社会人が身につけておくべき作法ですが、仕事でかかわる方々への配慮や思いやりがベースにあります。
起業した方・する方は、自分を良きビジネスパートナーと見てもらえるよう、ビジネスマナーを大事にしたいものです。これから起業して一からビジネスを立ち上げ、会社のブランド力を作っていく人は、ビジネスマナーが如実に表れる「電話、挨拶、名刺交換」など、これまでの自分流のやり方を改めて総点検してみてください。
敬意や配慮が感じられる言葉遣いや、訪問・来訪時の心の余裕、全体的な所作は、新たなビジネスチャンスを引き寄せる可能性を秘めています。