インターネットを利用した各種の起業で注意しなくてはならないのが著作権です。文章はもちろん画像や動画にも著作権はあり、出典や参照を明記しなかったり、正しい方法で直接引用がなされていなかったりすれば、権利の侵害にもなりかねません。この記事では、著作権侵害にならないための基本的な知識を紹介します。
①そもそも引用とは何か?
引用とは、他人の文章や画像を、自分の文章の中にかたちを変えないでそのまま引き写すことをいいます。引き写した箇所は、「出典」と明記して引用先を示すのがルールです。
出典と同じく、引用先を示す言葉に「参考」「参照」「転載」がありますが、「参考」は、自説を展開するヒントとなった他人の思索やアイデアなど概念の引用にも用い、「参照」は、具体的な図表や著作物などを引用した場合に用います。「転載」は、自説を展開するために多くの分量の引用が必要になった場合に用いますが、著作権に直接関わる部分が多いため引用先から事前に許可を得ておくなどの配慮が必要になります。
②引用には種類がある
引用は「直接引用」と「間接引用」という2つの種類に大別されるほか、「孫引き」という変則的な種類もあります。
まず「直接引用」というのは、引用した文章や図表などをそのまま書き写す方法をさします。文章の場合は一字一句変えてはならず、たとえ誤記があっても訂正しないで使用するのがルールです。
対して「間接引用」とは、他人の文章などをそのまま書き記すのではなく、要約して引用する方法をさします。引用部分が多すぎて紙面を取り過ぎてしまう場合などに用います。
このほか、引用したい文章の中に引用部分が含まれている場合もあります。これは引用の引用という意味で「孫引き」といわれる方法です。孫引きは出典の信頼性が薄れる恐れがあるため極力行わず、やむを得ず用いる場合は原典で確認して信頼性を担保することが必要になります。
③引用に必要な条件とは
<引用する際に注意しなければならないこと3点>
- 他人の著作であることが明らかに分かるように区別すること
- 自分の文章以上に引用量が多すぎるなどといった主従の関係が起きないこと
- 引用内容に手を加えないこと
大前提としては、引用する必然性があることが大切で、自説の展開に必要ない部分で総花的に引用することは著作権の侵害に当たるとみなされる恐れもあります。そのため引用するにあたっては、自説の補強や根拠であることが誰の目にも納得できるという点が重要で、あくまで自分の著作物がメインであって、引用は補完であることが求められます。
引用する際は、一目で認識できるようカギ括弧で引用部分を区別することや、どこから引用したものなのか、出典を明示することが必須事項となります。
④ネット上での正しい表記方法は?
インターネットを使った起業では、Webサイトの運営やコンテンツ制作など、他のサイトからの引用を行うケースも増えてきますが、正しい表記方法を怠ると、著作権侵害でトラブルになるリスクが高まります。
引用した部分をそのまま書き写す場合は出典表記を行うのが鉄則ですが、アイデアや考え方を引用した場合には参考の表記を、図表など具体的な著作物を引用した場合は参照の表記を行うことも忘れないようにしましょう。また、ネット上では引用した部分を明確にして内容の信ぴょう性を保証するために、URLを記載して読者が確認できるようにします。
⑤引用する際の注意点とは?
文章や図表などのデータを引用する際は、直接引用の場合は一字一句書き換えないでそのまま転記するのが鉄則です。引用したことがはっきりとわかるように、カギ括弧で引用部分を区別したりHTMLの引用タグで自分以外の文章であることを明確に示します。また、間接引用の場合でも、自分の文章と他人の文章が曖昧にならないように、「著者によると」などの文頭表現や「~だとする」などの文末表現を明確に示す必要があります。
さらに文章だけでなく、画像の引用に関しても出典表記は必要になります。引用する分量が多くなるようであれば、出典表記ではなく、転載などの表記に改めて、事前に著作権者などに掲載の許可を取っておくことなどもトラブルを招かないためには必要な配慮となるでしょう。
ネット上で起業する場合は、他人の文章や画像の著作権に対する配慮が必要です。自分のコンテンツに他人の文章や画像を流用する際は、出典や参照の表記を確実に行うほか、直接引用は一字一句変更しないで引き写すなど、著作権侵害に当たらないようルールを守って正しく行うようにしましょう。