起業して間もない方で、会計・税務の実務を経験しているという方は決して多くありません。
事業開始にあたって、どのように会計を行えば良いのかわからない・・・と不安になる方も多いのではないでしょうか。
会計ソフトやクラウドサービスなども充実していますので、経理事務をご自身で行うことはそれほど難しくはありません。ですが、本業に専念したいという場合、負担が少なくないのも事実です。
会計・税務の実務を依頼する時の専門家は「税理士」になります。今回のコラムは、そんな税理士の選び方や、どんなことを依頼できるのかなどをお伝えしたいと思います。
目次
起業間もない時点で税理士に依頼すべきか?
自分で記帳~税務申告を行うのも選択肢の一つ
冒頭でもお伝えした通り、会計ソフトの充実や、クラウドサービス等、税理士に依頼をしなくても、毎月の記帳を行うことは難しくありません。今後の為にも、ご自身で会計ソフトの入力をしているという方も多いです。
記帳代行会社に毎月の記帳を依頼するのもポイント
「何が経費で落とせるかよくわからない」とか、記帳に挑戦してみたものの、「会計ソフトの使い方がよくわからず困っている」という方もいらっしゃると思います。
そんな時は、税理士でなくても、毎月の記帳を記帳代行の会社に依頼するという方法もあります。記帳代行の会社に、領収書や請求書、売掛帳や通帳のコピーを送ると、毎月の記帳を行ってくれます。行う業務や仕分け数などによっても料金が異なるので、何をどこまで対応してくれるかも含め、依頼する会社を選ぶと良いでしょう。
税務申告はスポットで依頼もできる
上記でお伝えした、毎月の記帳は自分でチャレンジする方法、もしくは記帳代行会社に依頼するというどちらのケースでも同じですが、決算書作成、税務申告だけ税理士に依頼するという方法もあります。
この場合、毎月の資料やデータを渡して、月次のチェックを行い、どれだけの作業が必要かどうか見積もりをしてくれるケースが多いです。場合によって数ヶ月分の記帳料金を請求されることもあります。期末から2ヶ月以内に納税が必要なため、決算書作成、税務申告を依頼するかどうかは早めに相談しましょう。
税理士に頼むかどうかなど、期毎に変更を検討しよう
アウトソーシングをする場合、依頼する相手を切り替えるのは期毎にしましょう。期の途中でも切り替えはできますが、その分手間やコストがかかってしまう場合があります。
税理士を選ぶポイントは?
どのような業務を専門家に依頼する場合も言えることですが、事業や状況を理解しながらも、必要なことがあればきちんと提案してもらえるような関係性を築くことが重要かと思います。そのためにも以下のことを意識して選ぶことがお勧めです。
相性
依頼する税理士との相性が良いかどうかも大事なポイントです。自身が使っているコミュニケーションツールで連絡のやりとりができて、きめ細やかな対応をしてもらえるかなど確認しましょう。一度はきちんと面談して、確認することをお勧めします。また、親交を深めるために一緒に食事に行くというのも良いのではないでしょうか。
フットワークの良さ、レスポンスの速さ
会社の数字を把握し、事業の環境の変化にも対応できるスピード感があることは、今の時代の税理士には必要不可欠かと思います。
どの税理士に依頼するか決めかねている場合は、仕事のスピード感を比較して選ぶことも良いと思います。
付加価値
依頼内容や料金によっても異なるとは思いますが、経営支援として、経営相談に乗ってくれる場合や、独自の資金調達のネットワークを持っているなど、会計・税務以外にも取り組んでいる税理士事務所もあります。心強いパートナーとして見極めることも大切です。
料金体系
経営者自身にとって付加価値があるかどうかの判断にも関わることですが、単に料金の安さだけで考えるのはいかがなものかと思います。
創業当初の顧問料や決算書作成、税務申告の料金は、一般的な料金の範囲で選ぶことはもちろんですが、他にも以下の2つのポイントは押さえておくべきでしょう。
- 自分にとって必要なサービスを提供してくれるかどうか
- 自分の事業やその時の状況に合った付加価値を提供してもらえるかどうか
創業当初では税務の仕事はシンプルですが、事業を続けていくと、事業の多角化や、領域の拡大など、展開によっては相談に乗ってもらったり、資金調達をサポートしてもらったりする事も必要になるかもしれません。
最後に
アウトソーシングを検討する際、どの業務にも言えることですが、ご自身で全く理解しようとせず丸投げすることは、避けるべきであると思います。他人任せにしたことで、思わぬ間違いやリスクが生じてしまう可能性があるからです。
また、会計や税務を把握することは、損益の分析、予算管理、資金繰りの改善、金融機関との関係強化など、会社経営上必要なことが多いです。
ある程度ご自身で会計や税務を把握してから検討するのが大切です。