起業して法人を設立した後、何かしておくべきことは無いか・・・と悩む方は意外と多いのではないでしょうか。
今回は法人設立後にやっておくべき手続きについてお伝えします。
目次
法人を設立したらすぐにやるべき手続き
法人を設立した後、以下の手続きは速やかに行いましょう。手続きによっては提出期限があるので注意が必要です。
1.「法人設立届出書」の提出
法人を設立したら設立会社情報を記入した「法人設立届出書」を納税地の管轄税務署に2ヶ月以内に、また都道府県税事務所、市町村役場にも1期目が終了するまでに提出する必要があります。忘れずに手続きするため、設立したら全て提出しておきましょう。
2.社会保険への加入
個人事業主の場合、従業員が5人未満であれば社会保険(健康保険、厚生年金保険)は任意なので、ひとりで法人を設立した時、「社会保険は加入しなくても良いのでは?」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし法人を設立した場合、社会保険(健康保険、厚生年金保険)は必ず加入しなければなりません。
加入する際は、管轄の年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出します。法人設立から5日以内に提出が必要です。
必要な届け出や添付書類は、創業形態や従業員の人数によっても変わりますので、詳しくは管轄の年金事務所に確認をしましょう。
3.銀行口座開設
法人の銀行口座がないと、取引先とのお金のやりとりに困ってしまう場合もあります。そのため法人口座は開設しておきましょう。
ただし個人での一般的な口座開設と違い、現金があれば誰でも作れるというものではありません。
法人口座の場合、金融機関は詐欺で口座が使われることが無いよう厳しく審査をしているようです。そのため、法人であることを証明するための書類を準備しておく必要があります。
基本的に法人口座開設の手続きは、登記した本店所在地の管轄をしている金融機関の各支店で行われます。必要書類については金融機関ごとに異なるものもありますので、お申し込みの前にホームページ等で確認しておきましょう。
役員報酬について
「法人設立したのはいいけども、役員報酬はいつまでに、どうやって決めたらいいの?」
法人を設立し、自分の給料(役員報酬)を決めようとする際、そのように思われる方は意外に多いのではないでしょうか。
役員報酬の決め方にはルールがありますので、まとめてみました。
1.役員報酬はいつ決める?
役員報酬の変更は、法人設立より3ヶ月以内のみ可能となっています。(翌期以降は事業年度開始から3ヶ月以内)
ちなみに役員に賞与を支給できるのだろうか?と思っている方もいらっしゃると思いますが、これも可能ではあります。
ただし、法人設立時は2ヵ月以内(翌期以降は事業年度開始から4ヵ月以内)に税務署に届けを出すなど、厳格な手続きが必要となります。
2.役員報酬はいくらにする?
税法上では役員報酬は原則経費にできない(=損金不算入)です。そのためどの会社も経費として認められて、かつ節税がきく範囲で決めています。
なお、法人税法で役員報酬のうち、会社の経費として認める為の要件が以下の様に定められています。
・定期同額給与
→毎月一定の時期に定額で支払われる報酬
・事前確定届出給与
→事前に税務署に届け出して、その届け出どおりに支給される報酬
・利益連動型給与
→同族会社以外で一定の要件を満たす場合のみ
役員報酬は個人での確定申告が必要です。仮に、思った以上に売上が上がらず、役員報酬が未払い・・・といったような場合でも、所得税はかかりますので注意が必要です。
経費としてだけではなく、起業後間もない場合はあまり負担が大きくならないよう気を付けることも大切です。
起業後、売上の予想がつかないため、当面生活費は賄えるという場合には、負担軽減という意味で、1期目は役員報酬をゼロにして、2期目に入ったらそれまでの売上を考慮して役員報酬の額を決めるという方もいます。
3.役員報酬の手続きは?
これまで説明した内容も少し重複しますが、まとめると以下の様な流れになります。
①役員報酬のルールを確認
これは先ほど説明した、毎月同額(定期同額)であることと、役員報酬の変更は、会社設立時から3ヶ月以内のみ変更可能というルールですね。なお、翌期以降は事業年度開始から3ヶ月以内のみ変更可能です。
②株主総会(社員総会)で決議を行う
役員報酬の金額を決議し、会社の出資者から承認を得るため、株主総会(合同会社は社員総会)を開催します。
③社会保険加入の手続き
管轄の年金事務所に行き、社会保険加入の書類を提出します。
④役員が居住している市区町村へ住民税の届け出
役員個人の住民税を会社が源泉徴収し納付します。そのための特別徴収手続きが必要です。
最後に
皆さんいかがでしたでしょうか。
書類をそろえ、法務局に申請し、法人を設立できてホッとしたのもつかの間。考えていた以上に、行うべき手続きがあると思った方も多いのではないでしょうか。
設立後に何がいつまでに必要か、このコラムを読んで参考になったのであれば幸いです。