【シニア起業】50歳を過ぎてからの起業家が倍増!

起業をご検討中の方へ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

50〜60代の方の経験を活かした起業は増えています。早期退職して起業するのか、会社に再雇用でとどまるのか、定年前後の起業の現状についてお伝えします。

50歳を過ぎてからの起業家が倍増!

高年齢者雇用安定法の改正により、2013年4月から希望者全員の継続雇用が義務付けられ、年金の受給開始年齢も2025年までに段階的に引き上げられています。

そんな中、50〜60代の起業がブームになっています。
2011年版の中小企業白書によれば、50歳以上の起業家の割合は1979年の18.9%から、2007年には42.1%と、ほぼ倍です。

ではなぜそのような実態となっているのか。
それは50〜60代の就労状況に大きな矛盾があるためだと考えられます。

総務省統計局によると、2012年9月の65歳以上の人口は、総人口の約4分の1(24.1%)で、過去最高となりました。いわゆる「団塊の世代」が65歳に達しはじめ、65歳以上の人口は約3,000万人となっています。高齢化は今後も進み、2060(平成72)年には、2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上となるといわれています。

内閣府の就業意欲の調査では、65歳までに退職したい人は3割に満たず、残りの約7割は「70歳以降まで」または「働けるうちはいつまでも」働きたいと考えています【図1】。

【図1】 就業意欲 内閣府「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」(平成20年)

 

しかし、いかに就業意欲が高くとも現在は働くことができない環境にあり、総務省「労働力調査」(平成23年)の年齢階層別の就業率をみると、65〜69歳で再雇用や再就職により就業できているのは36.3%と、就業希望者のおよそ半数となっています【図2】。

【図2】 年齢階層別の就業率 総務省「労働力調査」(平成23年)

【図1】と【図2】の2つのグラフが意味するものは「シニア層は高い就業意欲を持っている。しかし、これが必ずしも実際の就業には結びついていない」という現実です。

働く場所がなければ、当然、起業意欲が高まります。

【図3】のグラフをご覧ください。起業家全体の中で50歳以上の方が占める割合は、1979年の時点では2割に達していませんでした。しかし年々これが増加し、50歳代、60歳代の起業家が2007年では4割を超えています。

【図3】 中小企業庁「中小企業の動向」(平成22年)

シニアが「働きたい」理由とは?

それでは、なぜシニアの方は働きたいのでしょうか。その答えがわかるのが【図4】のグラフです。

55歳以上の方を対象に、働きたい理由について聞いています。「健康を維持したい」「知識や技能を活かしたい」という理由が、年齢が上がるとともに増えています。

一方「失業しているから」「収入を得る必要が生じたから」という理由を挙げた方は、年齢とともに減っています。

【図4】就業希望理由 内閣府「高齢者の経済生活に関する意識調査」(平成23年)

50〜60代で起業する場合、その多くの方が「第二の人生」をどのように生きていくかを模索し、「健康を維持したい」「知識や技能を生かしたい」「収入を得たい」そして「社会との接点を求めたい」と、自分の幸せや充実感などを得ることを考えています。

また、「収入を得たい」場合でも「何か事業でひとヤマあてたい」というよりも、一定の収入を確保するため、もしくは働きたくてもいい職場に巡り会えず「ならば起業を」と決めた方が多いようです。

「50代での起業」と「60代での起業」はこう違う!

私が起業相談を受けていて思うことは、50代(定年前)60代(定年後)では起業に対する考え方やその経緯が大きく異なることです。【表1】をご覧ください。

50代では、1番目に「自分の先行きが見えてきた」とありますが、これは決して「もう出世が望めない」というネガティブなものばかりではありません。

60歳での定年退職が何となく見えてきた時、ゴールが見え始めて「自分の人生、これでいいのか?」「そのゴールに向かって本当にこのまま走っていくべきなのか?」と疑問に思う方が多いです。 むしろ、社内で「上手くいけばあの地位まで行ける」とお感じになった方のほうが「だから何だ?」「はたしてそのゴールを目指すべきか」と自問自答するケースをよくお聞きします。

そこで、既に見えているゴールを目指すのでなく、体力がある50代のうちに起業し、次の挑戦をしよう、とお考えになる方が増えてきました。

2番目に「退職後、一気に収入が無くなることへの不安」とありますが、50代の方の中には、お子さんの大学の入学金を支払わなければならない方、住宅ローンが残っている方もいます。 しかも、年金だけでは生活費が足りないかもしれない。そんな心配もあり「ならば早めの起業を」とお考えになる方がいます。

そのほかには、今の仕事と「自分のやりたいこととのミスマッチ」を解消するために起業を考える方や、会社がつまらなくて退職し、再就職先を探したら収入が低すぎ「この程度なら起業した方がよほどいい」と考える方もいます。

一方、60代(定年後)では1番目に「定年後、社会とのつながりがほしい」とあります。 定年退職を迎え、いったんゴルフ三昧、旅行三昧の日々を送ったあと「やはり少し寂しい」「勤続経験を活かす場がほしい」とお考えになり、まだまだ元気だからということで、退職から数年以内に起業されるイメージです。

次は、「長年温めてきたアイデアを具現化したい」方です。 以前から発明家になりたくて、退職後起業し、さまざまな特許を取得されている方もいらっしゃいます。

「年金にプラスアルファがほしい」という方も多いです。

ちなみに、起業をされる方の中には社会貢献がしたいと考えている方も多いですが、中には「働くのはいいけど、ボランティアは嫌だ」とおっしゃる方がいます。無報酬だと、顧客は必要がなくてもそれを受け入れてしまうので、自分が必要とされているかわからない。お金を受け取って初めて人から評価された気がし、やりがいを感じられる、という心の動きがあります。

そして最後は「仲間がほしい」「自分の居場所を確保したい」という理由です。まだまだ働けるのに、このまま隠居などしたくない、という方が「ならば」と起業するケースも最近は増えています。

50代の起業家は、60代の起業家に比べ、夢の実現、収入の確保などの要素をお持ちの方が多く見られる一方、60代の起業家には「定年後、社会とのつながりがほしい」という方が多い点が違います。

可能性を追求し収入にもこだわりたい50代少しでも世間とのかかわり合いを持ち人生を楽しみたい60代という傾向があります。

いかがでしょうか。一口に「シニア起業」と言っても、50代の方と60代の方で考え方がだいぶ違います。昨今「人生100年時代」という言葉がブームになっていますが、50代60代の方の起業は、次の人生で何の仕事をしつつ人生を豊かにし、自分が輝けるものにするかという問いを、ぜひ追求していただきたいと思います。