起業の意志はあるものの、事業を始めるためには多額の設立資金や運営資金が必要だとの思いに腰が引けて、なかなか行動を起こせないでいるというケースが見られます。しかし起業には必ずしも多額な資金が必要となるわけではありません。アイデア次第で初期費用をかけずに起業する0円起業も実際に増加しているのです。
この記事では、0円起業とはどのようなものかを解説するとともに、0円起業を成功させるためのポイントや注意点などについて説明します。
目次
0円起業のメリット・デメリットは?
法人として会社を設立する場合は登記などに費用が発生しますが、個人で事業を起こす場合は税務署に開業届を提出するだけで特に費用はかかりません。そのため0円起業は個人事業主として起業することを主に指します。
個人事業主であればめんどうな定款の作成や従業員の雇用、事務所の確保なども必要なく、この手間のなさは0円起業をするメリットの一つと感じられるでしょう。
さらに個人事業主は副業として行うことができるという点も見逃せません。本業で収入を確保しながら自分のペースで事業展開できることも0円起業の利点になります。万が一事業がうまくいかなかったとしても初期費用がかかっていないので費用面でのリスクを抑えてチャレンジするというメリットがあります。
その一方、0円起業は事業規模に照らして大がかりな展開ができないので、取り組める業種や進め方が限られてしまうというデメリットがあります。つまり初期投資を抑えての事業展開となるため、売り上げに関係なく費用が先に発生する仕入れや設備投資などが必要な事業は行えないということです。
0円起業のアイデアにはどんなものがある?
経費を抑えるという点で、固定費の削減を図りやすい業種と親和性が高いのが0円起業の特徴です。次にいくつかの事業アイデアを紹介します。
分野 | 内容 |
①コンサルティング | クライアントの課題解決に適切なアドバイスを行うのがコンサルティングの仕事です。本業などで培った専門知識が応用できるので新たに資本を投下する必要もなく、オンラインでやり取りすれば事務所の賃貸料などもかかりません。営業面で言えば、まずは一つ一つ実績を積んで丁寧に仕事をしていくことで紹介なども増えるでしょう。 |
②WEBライター | WEBサイトに掲載する各種のコラム記事や、通販サイトの商品を魅力的に伝える説明文などを作成するのがWEBライターの仕事になります。特別な資格などは必要なく、文章を書くスキルと執筆用のパソコンがあればすぐにでも始められます。 インターネットが普及しSNSも浸透して情報量がどんどん増えている時代ですから文書スキルはどの分野にも応用できます。 |
③オンライン教室 | 特別な技能や専門知識があれば、オンライン上で教室を開いて収益化を図ることができます。生徒募集もSNSなどを通じて集客すれば、特に広告費を掛ける必要はありません。 |
④各種代行業 | 代行業とは、企業や個人が誰かに肩代わりしてやってもらいたいと希望する仕事を請け負って行う事業です。 たとえば運転代行や配達代行、ペットの散歩代行、買い物代行、墓参りの代行など、自分の体力を元手にアイデア次第で様々なニーズを代行の仕事として掘り起こすことができるでしょう。 |
⑤SNS運用 | SNSを活用して集客を図り、様々なビジネスにつなげていくのがSNS運用の仕事です。自分のスキルを販売したり、企業の営業活動の代行をして商品やサービスの販売実績を向上させたりと、多岐にわたる複数のビジネス展開が可能になります。 特別な設備投資などは必要なく、SNSの専門知識と通信環境さえあればすぐに取り組むことができます。 |
0円起業を成功させるポイントは?
いくら0円で起業できるからといって、資金が全く必要ないというわけではありません。起業してすぐに利益が出るわけではありませんので、当面の生活費や運転資金は事前に用意しておくようにしておきましょう。そのためにはいきなり本業にしてしまうのではなく、本業の収入は確保しつつ副業でスタートして軌道に乗せるのが0円起業を成功させるポイントの一つとなるでしょう。
WEBなどを活用すれば事務所代などの余計な固定費を削減することができますので、ITツールは積極的に使っていくようにしたいものです。また、WEB上には0円起業をするのにふさわしい仕事を提供しているクラウドソーシングのサイトも複数ありますので、起業当初はこのサイトにできるだけ多く登録してビジネスチャンスを逃さずとらえていくことが、成功のカギを握るポイントとなるでしょう。
事業というのは、事業規模を拡大する時や事業スピードを上げるためには様々な投資をしなければなりませんが売上げがないとそれができません。したがって「0円起業」のポイントは最初に売り上げを上げることに注力することが特に重要です。たとえ趣味や社会貢献的な分野であっても、売り上げが自分の思うように伸びないと「時間や多少の経費だけが発生」して長く続けるのが難しくなるからです。
0円起業のリスクとは?
1)生活するための費用と切り離していますか?
開業資金のかからない0円起業ですが、生活面のリスクにも目を向けておく必要があります。まず、0円で始められる事業では初めから大きな報酬は望めないということを自覚しておきましょう。小さな報酬の積み重ねで実績を作りながら事業を拡大するというイメージを抱くことが大切です。生活費と切り離して事業を継続するための最小限の資金は用意しておかなくてはなりません。
2)ランニングコストは大丈夫ですか?
初期費用を抑えて0円で起業しても、その後の「ランニングコスト」も考えておく必要があります。たとえばフランチャイズ店に加盟して、一定期間を過ぎると仕入れや設備費の負担が求められるというようなケースです。その時になって支払いができないということのないよう契約内容を事前にしっかりと確認しましょう。
3)儲けが出てきたらしっかり税金のことも考えよう!
税金の支払い義務を認識しておかなくてはなりません。一定の利益が出ると、当然のことながら確定申告が必要になります。利益が少ないからといって税金面のチェックを怠っていれば脱税が発覚して追徴課税を受けるという最悪の事態も招きかねませんので、税金面のリスクにも日頃から高い意識をもって備えておきたいものです。