政府が2017年にまとめた「働き方改革」の計画では、「副業・兼業の推進」が掲げられ、厚生労働省は副業解禁というキーワードを基に、動きを見せる気配があります。
しかし本業を抱えている人からすると、「副業」という言葉から「副業するとリスクがある」というイメージを持たれることもあるでしょう。まずは3つのリスクについて紹介します。
目次
副業を行うことによる長時間労働
副業するということは、本業の時短制度などを活用しない限り、その分だけ労働時間が長くなります。
仮に本業の就業先で8時間勤務したのちに、副業の就業先へ移動し、5時間勤務という生活を月20日行ったとします。この場合、月間の残業時間を計算すると、
【残業時間:1日当たり5時間】 × 20日間 = 月間残業時間 100時間 です。
月間残業100時間という数字は、精神障害や精神疾患につながったり、過労死のリスクが高まったりします。
労働者本人や家族はこれらをどの程度考えているか、という課題が出てきます。また、就業先企業についても過労死等の事案が発生すると、労災事故として扱われる可能性があるので留意すべき内容です。
上記で仮に計算して出た「月間残業時間:100時間」という数字は、企業に過失が問われる可能性が高いと言われているだけの長時間労働です。
副業と労働災害について
ここでは本業、副業共に雇用関係がある場合に関連してくる内容を説明します。
労働災害が発生した場合、就業先の賃金に基づき給付額が算定されます。
つまり、仮に副業の就業先で労働災害に見舞われた場合、労働時間が短い副業の就業先での低い収入をベースに給付額が算定されることになります。
副業の就業先での労働災害が原因で本業の就労にも支障が出た場合、大幅な収入減となる可能性もあります。万が一の事を想定した場合、副業にはこのような大きなリスクが伴います。
また、前項でも触れた長時間労働の結果、精神障害を発症したといった場合でも労使関係以外に大きな問題が生じる可能性が出てきます。精神障害は身体障害と比べて原因を特定しにくいケースが多いです。労働災害の適用判断自体が難しいのはもちろん、本業、副業どちらの事業者に原因があるのかを明確にするのは困難なため、企業間での問題にもつながりかねません。
副業前に知っておきたい5つのポイント
1.余裕を持った計画を
「副業」というと、本業の勤務を終えた後の平日の夜や、休日の土日にスケジュールをこなしていくというイメージを持たれる方も多いと思います。
しかし、本業の業務時間がおしたり、会食などの付き合いがあったりするだけで、平日の夜や土日はあっという間に終わってしまいます。
大事なのは先を見越した予定管理を行う、という事です。
例えば毎週水曜の夜と日曜は副業のスケジュールを空けておく、などといったルール作りをすることです。副業のスケジュールにバッファを持たせておくことで、イレギュラーな予定にも対処できます。
2.本業の就労先に対する配慮
就業先が副業可能な場合でも最低限守るべきルールがあります。副業が認められているかといって、自分の思う通りに何をやっても良い、ということではありません。大事なポイントは2つあります。
- 本業に支障がでないようにすること
- 本業の利益を侵害する行いはしないこと
この2つをおろそかにすると、副業が本業に悪い影響を与える、というイメージを持たれてしまいます。
少しずつ副業推奨が広まりつつある世間の流れに対して、せっかく就業先の会社が寛容的になっている矢先に「副業」イメージを下げてしまうことで、他の人にも迷惑がかかってしまう恐れがあります。
3.時間と手間、元手をかけない
副業を始めるようとするきっかけは人それぞれですが、副業の準備~軌道に乗るまでは、「時間と手間をかけない」「元手があまりかからない」という2つが重要です。
本業で得たスキル・経験を活かして、本業を侵害しない別分野の新規ビジネスを、時間と手間、元手をかけずに生み出すことができれば、やりがいもあり、かつ収益も得られる可能性があります。
あなたが歩んでこられた人生で、これまで得てきた経験はとても貴重です。経験やスキルを活かしつつ、少し違った視点で物事を捉えると良いヒントが浮かぶかもしれません。
4.自身の強み、弱みを再確認
本業で雇用されている立場の方々は、日々業務に追われ、「自分を見つめ直す」という機会は少ないと思います。
副業を始めようとする場合には、まず自身の棚卸しを行い、「強み」「弱み」を洗い出してみましょう。
準備期間があるのであれば、「強み」をどう活かすかを整理することも重要です。また、「弱み」の部分については、必要な対策を検討することが重要です。
5.労働者・企業側それぞれのメリット
「副業」については、労使双方にリスクだけでなく、メリットも考えられます。
副業・兼業を推奨することで、従業員のスキルアップにつながるという考え方をする企業や、人を採用する際、通常の中途採用では出会えないような専門性が高く優秀な人材を雇用することができることから、あらかじめ副業・兼業をした人材を募集すると発表している企業もあります。
もし就業先が副業可の場合、申請する際には、企業側のメリットを踏まえてプレゼンするのも良いでしょう。下記でいくつかご紹介しますので、参考にしてください。
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