事業を営む中で、ついて回るのが「税金」です。
「税理士に任せるから大丈夫」と考えている方も、どんな税金がかかるのか知っておいて損はありません。なかには、赤字であっても払わなければならない税金もあるからです。
また個人事業主と法人によっても違いがあります。今回は個人事業主と法人とに分けて、税金についてまとめました。
個人事業主のケース
まず初めに、個人事業主のケースについてです。
開業時
公的な起業(開業)の手続きにおいての話です。
個人事業主は起業時には税金はかかりません。税務署で開業の届け出用紙へ記入・押印のうえ提出すれば完了します。
事業を始めてから
所得税・消費税・住民税・個人事業税の4つがあります。
所得税
事業を営む中で得た所得に対して課されます。個人事業主にとって一番大きな税金ともいわれています。
納付書が手元に届くことはなく、確定申告で計算した金額を自ら納付しなければなりません。
納付の期限は、3月15日まで(その年の確定申告書の提出期限日)なので、確定申告をしてすぐ納めると覚えていただくと良いでしょう。
消費税
消費税は、全ての商品やサービスに対し、取引の段階で課税されます。
こちらも納付書は届かないため、確定申告で計算した金額を自ら納付しなければなりません。納める期限は3月31日となります。
消費税は課税事業者(納めなければならない事業者)の場合は、赤字であっても納めなければなりません。しかし、一方で免税事業者(納めなくていい事業者)というものもあります。
原則として、前々年度(2年前)の課税対象の売上が1000万円を超えているかどうかによって、課税事業者か免税事業者かに分かれます。
事業を始めて1年目と2年目は免税事業者となります。3年目に課税対象事業者になるかどうかは、1年目の課税対象の売上が1000万円を超えているかどうかによります。
なお、免税事業者であっても、料金を請求する際は、消費税を含めて請求できます。つまり、2年目までは顧客から消費税を含めていただいても納付する必要はありません。
住民税
確定申告をしていれば住民税の申告をする必要はありません。
確定申告の内容が各自治体に伝えられ、その内容をもとに住民税の計算・請求を自治体が行います。6月ごろに納税に関する通知が手元に届きます。
この住民税は「均等割」と「所得割」という2種類の金額があり、この2つの合計金額で成り立っています。均等割は所得に関係なく一律の金額になり、所得割は前年の所得額に金額が変わります。
個人事業税
こちらも確定申告をしていれば申告の必要はありません。8月ごろに納税に関する通知が手元に届くことになります。基本的には、8月と11月の2回に分けて納めることになります。
ただし、1年間事業を営んでいると290万円の控除がつくため、納付額が290万円を下回る場合には納付する必要がありません。
法人のケース
つづいて法人のケースです。
個人事業主と違い法人は決算がもとになります。法人により決算期は違いますので、納付の時期も法人ごとに異なります。
開業時
法人の種類にもよりますが、おおむね法務局へ法人設立の申請をする際に、「登録免許税」を支払わなければなりません。金額は法人の種類によって異なります。
事業を始めてから
法人税(所得税)・法人住民税・法人事業税の3つがあります。3つをまとめて「法人税」や法人税等と言われています。
法人税(所得税)
個人事業主の所得税と同じように法人の所得に対して課されます。
法人住民税・法人事業税と大きく違う点は「国税」だということです。そのほかの2つは地方税になります。
法人住民税
個人事業主でいうところの「住民税」に相当する地方税です。法人の場合は「法人税割」と「均等割」の2種類の金額の合計額になります。
法人税割は法人税の金額から計算された金額で、均等割は資本金の額や事務所の場所等によって金額が決まります。この均等割の金額は所得に関係が無いため、たとえ赤字であっても納付しなければなりません。
法人事業税
この法人事業税も法人の所得に対して課される地方税です。
都道府県や事業規模によって税率が変わりますが、所得が赤字であった場合には、納付金額はゼロになります。
消費税
個人事業主と同じように取引に応じて課されます。
法人の場合も課税事業者と免税事業者とに分かれますが、免税事業者の条件は資本金が1000万円未満であることです。1000万円以上の法人は開業したばかりであっても課税事業者となります。