起業した方にそのきっかけを聞いてみると「収入を増やしたかった」、「定年の無い仕事をして収入を確保したかった」、「自分で事業を始めてみたかった」、「尊敬する人が経営者だった」、「会社ではやりたいことができなかった」等さまざまな回答が返ってきます。
実際に起業をした方に、「起業しようと思った理由」を聞いてみると、意外にもある共通項が浮かび上がってきました。
起業した方に聞いてみた。~起業に至った1つの理由~
起業しようと思った理由、それは、起業を検討したアイデアが、「できること」「やりたいこと」「お金になること」という3つのポイントを満たしているということでした。
「できること」とは自分が得意だったこと、強みだと自負していること、知識、スキル・資格、ノウハウのことです。
「やりたいこと」とはまさに関心を持っていたことで、好きなこと、趣味、抱いていた夢などのことです。
「お金になること」はその言葉の通り、お金を払ってくれる人がいるかどうかです。
この3つを検証してみて、上手くいくのではないかとの結論に至った時に、本格的に起業へと踏み出したということです。
せっかく自分で始めるのだから、「好きでもないことをただお金のためにやっても面白くない」「自分が好きなことだったとしても売れなければ意味がない」という思いで、アイデアを何度も考えていったそうです。
ビジネスにしたいアイデアが固まってきた後は、周囲の人達や専門家に相談してみたり、Webで情報収集をしてみたり、起業までの道のりには試行錯誤が付いて回っていました。
ですが、初めに色々と考えたおかげで自分の中の骨子のような軸ができ、当初考えた内容からブレることなく、アイデアをビジネスプランにし、起業準備を進めていくことができたというお話もされていました。
どんな方が起業している?~最近の起業の動向~
次にデータに基づいて、どのような方が起業を検討しているかなど、最近の起業の動向をお伝えしたいと思います。
中小企業庁が発行している2017年版「中小企業白書」を見てみると、
起業希望者や起業準備者は1997年以降減少傾向にあり、起業する人の数も減少していることが分かります。
一方で、希望者から起業した人の割合は少しながら増えてきていることも分かります。
もしかしたら希望者や準備者は声を大にして「起業を考えている」と示していないのかもしれません。
引用元:2017年版「中小企業白書 」より
次に、希望者や起業家の男女比を見てみると、男性が多数を占めていることが分かります。
女性の起業希望者の割合は増加していますが、起業家全体の内の女性起業家の割合は、減少していることからは、女性が働き方の一つとして起業を考えるようにはなっているものの、実際に起業にまでは至っていないのではないかと推察されます。
引用元:2017年版「中小企業白書 」より
また、男女別の起業家の年齢構成を見てみると、男女ともに中高年の起業が増えてきていることが分かります。
特に、60歳以上の男性の割合は大きく増えてきています。定年前後で起業したいという男性が増えていることの現れではないでしょうか。
引用元:2017年版「中小企業白書 」より
今回のテーマとしている「起業に至った理由」を見てみると、第一位は性別に関わりなく、59歳以下の方は、「周囲の起業家・経営者の影響」がきっかけで、60歳以上の方は「時間的な余裕ができた」という結果になっています。どの世代にも共通しているのは、お金を稼ぐことよりも、やりがいなどを重視しているということが分かります。
引用元:2017年版「中小企業白書 」より
資料からは起業を考えてからは実際に起業にこぎつける人が多くなっているということ、また割合として、男性の起業が多く、特に中高年の起業が多いことが分かりました。
そして起業のきっかけは必ずしもお金を稼ぐことを第一には考えていない傾向にあることが分かりました。昨今は女性の起業に対するサポートも増えてきているので、男女の割合に変化が起こるかもしれません。
最後に
せっかく起業をするなら、売上もあがって、やりがいが無いと長続きしません。今回のコラムをお伝えすることで、「やりたいことで起業できるのだろうか?」と迷っている方や、「起業を考えた事はあるけど実際やるのは・・」とお考えの方が、一歩を踏み出すきっかけとなり、お役に立てたのであれば幸いです。