起業家にとって、避けては通れない弊害が「リスク」です。このリスクを甘く見てしまうと、事業がつまずく大きな原因となってしまいます。しかし、それらのリスクを正確に把握し、適切な戦略で対応することで、事業を成功に導くことが可能です。本記事では、起業家として遭遇する様々なリスクと、それらリスクを最小限に抑えたり、回避するための対処法について詳しく解説します。
目次
財務のリスク
1)売上不足
売上が予測よりも上がらないというリスクは、多くの起業家が直面する問題です。対策としては、消費者の本当のニーズや要望を正確に把握することが大切です。例えば製品に対するアンケートを行うことで製品の良い点、悪い点が見つかります。
良い商品・サービスが絶対売れるというわけではありません。勝手に売れるのであれば営業や広告業務は必要ないですがそうなりません。
2)初期投資とランニングコスト
事業開始の段階で初期投資を必要です。店舗やオフィスの購入・リース、設備や機材の導入、人材の採用など、多岐にわたる出費が発生します。その上、事業が安定してくるまでのランニングコストも見逃せません。これらのコストを最小限に抑えつつ、資金調達を増やすためには、ベンチャーキャピタル、クラウドファンディングなどの資金源の活用を検討することも一つの方法です。
起業する時の一番のリスクが、「初期投資と数カ月のランニングコスト」です。もし起業しなければそのリスクはないのです。一つの見方をすると、まず起業家はこのリスクをかけるかどうかの判断をした人だと言えます。
3)資金不足と売掛金の回収
事業が軌道に乗るまでの間、資金繰りは常に注意が必要です。適切な財務管理と、効果的な売掛金回収戦略を構築することでリスクを軽減できます。年単位の長期的な事業計画を立てるようにしましょう。お金がないと会社はまわりません、投資ができないと継続させることができません。
製品・サービスと法的リスクの管理
1)製品やサービスの陳腐化
時代とともに、技術や消費者の嗜好、ライフスタイルが変化します。これに伴い、かつて人気だった製品やサービスも、時と共にその価値を失っていくことがあります。この陳腐化は、企業にとって売上減少やブランド価値の低下という形で大きな打撃となります。対策としては、定期的に顧客のフィードバックを取り入れ、製品やサービスを見直すことが大切です。
2)法的リスク
政府の政策変更や新しい法律、業界の規定の変更など、外部環境の変動に起因するリスクが存在します。これらのリスクを未然に防ぐためには、業務プロセスの見直しや、適切な法的教育を従業員に行って事前に準備することが大切です。
人間関係のリスクへの備え
1)仕事とプライベートの問題
起業家としての役割と、家庭や友人との関係は簡単には分けられないものです。仕事に時間が取られてしまうと家族や友人との時間を過ごせなくなってしまいます。1日のスケジュールをあらかじめ決め、休息の確保、家族とのコミュニケーションの場を設けることでバランスを保つことが大切です。
2)従業員や外注先とのトラブル
従業員や外注先とのトラブルは、ビジネスを行う上での避けられないリスクの一つです。このようなトラブルが発生する原因としては、コミュニケーションの不足、期待値のズレ、契約内容の不明確さ、業務の範囲や責任の曖昧さなどがあります。
そういった事態を防ぐ為にも、定期的に従業員とコミュニケーションを取り、不満に思っていることを聞き出すことが大切です。また、外注先に仕事を依頼する時は業務の内容、納期、報酬、変更やキャンセルの条件など、取引に関わることを詳細に契約書に記載することで、後から生じるトラブルを防ぐことができます。
健康のリスク管理
1)継続的な睡眠不足
起業家は継続的に長時間労働を強いられることが多く、これが睡眠不足につながります。睡眠は体だけでなく、思考にも影響を与えるため、質の良い睡眠を確保することが必要です。
2)メンタルの問題
長時間の労働、経営のプレッシャー、人間関係のトラブルなどは、メンタルを損なう原因となります。定期的なカウンセリングを導入するようにしましょう。
予測不可能なリスクへの対策
1)天候や災害
事業地について、洪水や地震、台風などのリスクが高い地域か否か確認しておくことも大切です。ハザードマップを確認して事業の立地を確認するようにしましょう。また、災害発生時の緊急対応手順や復旧計画を予め策定しておくことで、事業のダウンタイムを短縮することができます。さらに、災害時の代替作業場所や避難場所の確保も考慮するようにしましょう。
2)情報漏洩の危険性
情報漏洩は、ビジネスの信頼性やブランドイメージを大きく損なうリスクを持っています。まず、データ管理の体制を強化することにより、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑えることが可能です。
具体的には、パスワード管理ツールの導入や、定期的なセキュリティ監査、データ暗号化技術の利用などです。また、従業員に対するセキュリティ教育や研修を行うようにしましょう。
事前に準備して起業のリスクを回避しよう
起業は市場の変動、資金の制約、人間関係の複雑さなど、様々なリスクがあります。しかし、事前に準備することによってある程度回避することが可能です。
今回紹介した内容は特に多いリスクを厳選して紹介しましたが他にも様々なリスクが存在します。起業前・起業後に自社にとってどのようなリスクがあるかを常に経営者として把握するように努めましょう。そして方針レベルでも良いですが、リスクが起こった時の「リスク対応策」を考える癖をつけましょう。
起業を検討する際は、広い視野を持ち継続的に学び続ける姿勢が求められます。自身のビジネスの特性を理解し、それに合わせたリスク管理の方法を模索することが大切です。