新しい会社を立ち上げて事業が軌道にのってきたら、アルバイトを雇いたいと考えは始めている人も多いのではないでしょうか。事業拡大のためにも人材が必要になりますよね。正社員を雇うのが理想的な選択肢ではありますが、起業したての会社ですと会社設立時の費用がかかる等の理由もあり、正社員よりも人件費を抑えられるパートやアルバイトを雇う割合が高くなるかと思います。
パートやアルバイトを雇った場合に必要な手続きや、給与計算や税務署への提出書類等についてお話します。
①税務署への提出書類は?
人を雇うとなった場合に「給与支払事業所等の開設届出書」を税務署に提出する必要があります。従業員を雇用して給与を支払う場合に提出する書類であり、雇用するために必須かつ納税に大きく影響する書類です。
従業員に給料を支払う際、支払う金額から所得税を引いた金額を支給するといった決まりがあります。給料から差し引いた所得税は、従業員の代わりに事業主が所轄の税務署に納める必要があるのです。
一般的に源泉徴収と呼ばれる行為ですが、給与支払事業所等の開設届出書は、従業員に代わって源泉徴収を行うのに必要な書類となります。
!勘違いされている方も多いですが下記の場合も提出が必要です!
正社員でなくパートやアルバイトを雇用した場合
源泉徴収の必要がない場合
②給与計算する際の確認事項
パートやアルバイトを雇った後は、会社側が設定した賃金に従って給与計算を行い従業員に支給する必要があります。会社側が従業員に支払うべき総支給額から、所得税等の控除額を差し引いた分が実際の支給額です。
控除額とは、源泉徴収に必要な所得税を始め、厚生年金保険料や雇用保険料といったものを指します。所得税や各種保険は、事業主が所定の場所に収めるための費用なので給与総額から差し引くのが原則です。就業規則や給与規定のみならず、勤怠管理の状況等をしっかりと把握した上で、給与計算をする必要があります。
給与計算時に確認すべきことは・・・
- 給与計算には就業規則に従う必要があります。始業時刻や終業時刻、休憩時間や休日等について定めた上、労働基準監督署に届け出ることが義務となっています。
※ただし作成の義務が生じるのは組織で働いている人が10人以上いる場合です - パートやアルバイトの勤務状況把握のためタイムカードや勤務実績表・シフト表といった、出勤日や勤務時間を記した書類が必要になります。
- 労働時間を超えた場合や休日出勤には、割増賃金を支払う必要があります。
- 通勤手当や出張手当といった、勤務に関係する追加費用が各種手当に該当します
③雇ったら注意すべきこと
実際に起業してパートやアルバイトを雇う場合には、給与や税金といった、いくつかのポイントを抑えておくのが重要です。
実際支払う給与については、都道府県ごとに決められた地域別最低賃金と、特定の産業従事者に対して支払う、特定最低賃金を把握しておきます。地域別最低賃金もしくは特定最低賃金分を下限とした上で、提示額以上の給与額を従業員に支払う義務があるからです。また、パートを雇った場合でも源泉徴収の対象となるため、年末調整をして所得税を計算する必要性が生じます。
正社員、パートやアルバイトといった勤務形態に関係なく、会社は全従業員に対して労災保険への加入が必須となります。31日以上の雇用期間を見込み、かつ1週間の労働時間が20時間を超える従業員は、パートでも雇用保険への加入対象となるのが一般的です。賃金や労働時間といった、労働条件をまとめた雇用通知書を、会社で働く従業員に提示するのが基本となります。雇用通知書には契約期間や業務内容に加え昇給や退職に関するルールが記載されています。
④将来利用したい助成金
有名なところでキャリアアップ助成金があります。
この助成金はパートやアルバイト等の非正規雇用労働者に対する処遇を改善するための助成金です。アルバイトとして入社した労働者を、正社員雇用へと変更した会社に対して助成金が支給されます。起業した会社が、アルバイトとして入社した従業員を正社員として雇用する場合、中小企業と同額の57万円を受け取れます。なお、キャリアアップ助成金は、障害者をアルバイトとして6ヶ月間採用した後、正社員に雇用形態を変更する場合でも受け取れるのが、大きなポイントです。
キャリアアップ助成金を受け取れる会社は、原則として雇用保険を適応している事業所に限定されます。加えて、会社内にキャリアアップ管理者を配置し、作成したキャリアアップ計画が労働局長に認められる等の条件がある点にも注意が必要です。
⑤最後に
起業して事業が軌道にのってきたら仕事量も増えます。人を雇うことによって事業を拡大していけるなどメリットはたくさんあります。手続きや給与支払い時には確認すべきことがたくさん発生しますのでしっかり確認しながら進めていきましょう。